世間の冗談がプラスアルファの魔法の蓋を開けた話|ナポレオンヒルの成功哲学

今以上に頑張る、もう一歩だけ進んでおくという、ナポレオン・ヒルの成功哲学のプラスアルファの魔法には、実はたくさんの副産物があります。

そのうちの一つは、ナポレオン・ヒルの成功哲学を実践する目的のようなものであり、多くの人が血眼になって探し求めている「積極的心構え」というものです。

積極的心構えというものは、ただ単に「できるできる!」といった精神論や「大丈夫」といった楽観思考とは全くの別物です。

・頑張っても上手くいかない
・積極的心構えがどうしたら身につくのか知りたい

こうした悩みや疑問を持っている人は、今回の内容で心の内面の力の育成に気付くことができますので、この記事では

・プラスアルファの努力を行うポイント
・奉仕によって回り出す他の成功哲学の歯車

これらについて、ナポレオン・ヒルの解説を元に、ナポレオン・ヒルの成功哲学に20年従事している専門家が、ひとつひとつ詳しく解説していきます。

世間の冗談が、プラスアルファの魔法のフタを開けた話

アンドリュー・カーネギーは、彼が好んで用いる、プラスアルファの魔法について、次のような実例を私、ナポレオン・ヒルに語ってくれたことがあります。

「以前、新聞記事でこんな話を見つけたんだ。一人の警官が町を巡回中に、小さな機械工場に夜遅く、灯りがついているのを見かけた」

「その工場では夜勤がないことを知っていた警官は、経営者に電話をかけてみた。経営者も、夜勤はないのでおかしい、というので二人で工場に行ってみた」

「そこに、何があったと思うかね?」

警官と経営者が、明かりのついている小部屋で見つけたのは、熱心に作業をしていた一人の若い従業員でした。彼は腕を磨こうと、毎晩工場に来ていたのです。

そのうち、そうすることが習慣になってしまっていたのです。

経営者は彼に残業料を支払っていませんでしたが、それは彼が一度も請求したことがなかったからです。カーネギーが話を続けました。

「新聞記事には、この若い従業員を皮肉るような調子で書いてあったんだ。しかし、結局は工場経営者を皮肉る結果になってしまった」

「なぜって、私がその従業員を今の二倍の給料を支払うから、うちへ来てみないか?と誘ったんだからね。彼は、私の見込み通りの男だった」

「すぐ工場長に昇進して、給料は倍ではなく四倍になった。もし彼が、現在のように積極的な姿勢を貫くのなら、彼は間もなく最高のエンジニアになるだろう」

そして、カーネギーはこう締めくくりました。

「会社に奉仕しようとする人々を、抑えつけることはできない。コルクが水に浮かぶように、彼らも自分たちの仕事や天職の上に、真っ直ぐに浮かび上がってくるのだ」

ここまでで学ぶこと

自分の腕を磨くために、時間外労働をしていた若い従業員は、プラスアルファの努力により、その魔法の効果を自分の人生で体感することとなりました。

こうした自ら進んで行う努力というものは、直ぐに効果を発揮することはなくても、いつかどこかでその見返りがあるものです。

現代の日本においては、コンプライアンスが厳しくなっているので、こうした事ができない環境ですが、それでも他にできる事というのはいくらでもあります。

そして、経営者からしてみたら、報酬以上の働きをしてくれる人というのは、このエピソードのカーネギーのように、喉から手が出るほど欲しい逸材です。

世の中では、仕事に取り組む姿勢というのは、ほとんどの人が「給料分の仕事をしている」「言われたことはこなしている」という基準の人で溢れています。

世の中のその他大勢の人の環境に、自分の身を落ち着けてしまうか、それをチャンスと捉えて周囲以上の働きをするかは、自分の心構えに懸かっています。

社内で昇進を狙うのも、より良い企業へステップアップの転職を志すにも、期待以上の働きをすることは、プラスの効果を生むことしかありません。

実際に、プラスアルファの努力を行ってみれば分かりますが、プラスアルファの魔法はいつ発動するか分からなくても、本人にはすぐにその効果は現れます。

それはやりがいであったり、晴れやかな気持ちであったり、充実感であったり、満足感であったりと、金銭には変えられませんが、どれも心を積極的にするものです。

つまり、自己啓発や成功哲学において、一番重要視されている「積極的心構え」を育成し、身につけることができます。

実は、プラスアルファの魔法の実践というものは、一見、一番遠回りに見えるかもしれませんが、自己啓発における「王道」なのです。

それでは続いて、プラスアルファの魔法を勘違いしてしまった人から学ぶ、プラスアルファのポイントについて、ナポレオン・ヒルの解説を見ていきましょう。

プラスアルファの魔法のポイント

この話とは、全く逆のケースがあります。ある労働者が経営者に申し立て、工場に日曜出勤をしました。

四週続けて日曜出勤をしたので、超過勤務時間の半分の請求書を出しました。ところが、会社はそれを受け付けてくれませんでした。

それは間違っている、とあなたは思うでしょうか?それとも、当然のことだと思うでしょうか?

工場に一人だけ出勤して機械を動かすと、大抵の場合、経費は大変高いものについてしまいます。

カーネギーに引き抜かれた若者は、そのことを知っていたようです。だから、彼は自発的残業の報酬を全く請求しなかったのです。

しかし、この労働者は、それを知らなかったようです。いずれにしても、この労働者は、積極的な心構えと奉仕の精神が欠けていました。

大切なことは「喜んで」「自ら進んで」「与えられる以上の奉仕」を行うことです。すぐに見返りや報酬を期待するようでは、成功はあり得ないのです。

あなたにその気持ちと意欲があるなら、成功の秘訣を、成功哲学の中から掴み取ることは、決して難しいことではありません。

ここまでで学ぶこと

プラスアルファの魔法とは、上辺ではなく心の底からの感情と、率先して取り組む姿勢と、貰う以上に尽くすことの精神が必要になります。

なぜなら、プラスアルファの努力を行うことは、周囲に対する演技ではなく、相手を喜ばせるための実践法であり、その結果、周囲を感動させることができるからです。

プラスアルファの努力の対象に、相手がいないケースを考えればもっと分かりやすいですが、その場合には対象は自分自身となります。

対象が自分自身となれば、プラスアルファの努力が、上辺だけで取り組んでいるのか、本気で実践しているのかの区別があっさりついてしまいます。

残業や時間外労働に限らず、出勤中の姿勢や、休日の時間の使い方などにおいても、こうした精神を持って取り組まないと、それは真の効果を発揮しません。

また、私が前半部分の解説で述べた「積極的心構え」を育むものである部分に関しても同じです。これは、恋愛に置き換えてみれば、非常に分かりやすいでしょう。

愛情とは、上辺だけではなく心からの感情が必要であり、恋人に対して率先して表現する姿勢と、相手から受け取る愛以上に、愛を与える精神が重要ですよね。

恋愛においても、すぐに見返りや報酬を期待するようでは、相手に愛想を尽かされてしまいます。

そして、プラスアルファの努力の実践というものは、積極的心構えを育む他にも、相手の気持を理解することにも繋がります。

なぜなら、相手がどうしたら喜ぶのかを考えないことには、プラスアルファの努力の実践が行えないためです。

もし、現在コミュニケーション脳力について悩んでいる人がいたら、このプラスアルファの努力に挑戦してみて下さい。

そうすると、プラスアルファの実践によって、相手の気持ちを理解することで、相手との円滑なコミュニケーションを取ることができるようになります。

また、自分の在り方にも繋がるパーソナリティを磨きたい人にとっても、プラスアルファの魔法というものは、とても役に立つものです。

なぜなら、自分が目指す理想像のリストを書き出していけば、その内容のほとんどがプラスアルファの魔法の実践によって、身につけることができるものだからです。

ナポレオン・ヒルの成功哲学を実践する上で、このプラスアルファの魔法というものは、とても奥が深いものですので、常に実践できるように心掛けていきましょう。