プラスアルファの魔法のもう一つのエピソード｜ナポレオン・ヒルの成功哲学

ナポレオン・ヒルの成功哲学の歯車の一つに、他人に進んで奉仕をする心というものがあります。

これを、ナポレオン・ヒルの成功哲学では、プラスアルファの魔法と呼んでいます。

聖書でも「求めよ、さらば与えられん」と同時に「与えよ、さらば求められん」という二つの言葉があります。

前者は、ナポレオン・ヒルの成功哲学で言う目標設定にあたり、後者はこのプラスアルファの魔法になります。

これらはどちらも行うことによって、初めて効果を発揮するものです。

・他人に与える余裕なんて無い
・他人に奉仕しても無駄だろう

このような気持ちを持っている人にとって、プラスアルファの魔法を実践することは、間違いなく人生を好転させるだけの力を持っています。

そこでこの記事では

・プラスアルファの魔法が周囲を味方に変えた実例

これらについて、ナポレオン・ヒルの成功哲学に20年従事している専門家が、ひとつひとつ詳しく解説していきます。

真の豊かさに気付くまで

これはロサンゼルス出身の、ある保険のセールスパーソンの物語です。

何年か前、平均よりやや上位にいた彼は、売上の新記録を作るようなことはありませんでしたが、慎ましやかな生計を立てて暮らしていました。

そして、少しずつ預金を増やすような生活をしていました。

ところがある日、そんな彼が投資に失敗し、少しずつ築いてきた財産を全て失い、どん底に落ちてしまいました。

しかし、それは決して不運な投資ではありませんでした。

むしろ、幸運な投資と呼んだ方が良いかもしれません。

一般的に、大きな損失を被った場合、大抵の人はそれで人生を失ってしまいますが、時にはそうした大きな試練を乗り越えて、大成する人物もいるのです。

どん底から立ち上がろうとした彼は、ナポレオン・ヒルの成功哲学と出会います。

そして、プラスアルファの魔法で、与えられた奉仕に対しては、それ以上の奉仕や献身で報いるということを学んだとき、目の覚めるような気持ちになりました。

お金や財産は失ってしまいましたが、真の豊かさに気がついたのです。

ここまでで学ぶこと

人は、自分の状況が悪ければ悪いほど、人のことよりも、自分の優先順位を上げるものです。

そうして、他人を蹴落としてのし上がろうとするのですが、実はこれは、一見近道に見えるのですが、結果的には遠回りになります。

なぜなら、自分の周囲を敵だらけにするよりも、味方につけた方が、より大きな力となって前進することができるからです。

「そうは言っても、自分のことで精一杯で、他人に割く余力なんてない」

と言った声が聞こえてきそうですが、もし今、無理なのであれば、きっとこの先も同じ状態が続くのは間違いありません。

なぜなら、成功を志す以上は、どれだけ進んだとしても、この先では今よりももっと大変な状況が待っているからです。

例えば、現在独立するために会社員で頑張っているとしたら、独立したら、会社の看板もなく、さらには給料という後ろ盾のない状況が待っています。

それを乗り越えて法人化したら、今度は社員とその家族を養っていく責任を、抱えながら進むことになります。

つまり、前に進むということは、今よりももっとハードな状況に、チャレンジしていくということなのです。

プラスアルファの魔法における重要なポイントは、勿論自分が行える最大限の奉仕を出来ればベストなのですが、出来ることからで良いので取り組んでいくことです。

例えば、電車で席を譲るでも良いですし、いつもより接客態度を良くする、といった小さな事から始めていけば、徐々に慣らしていくこともできます。

こうして少しずつ実行していくようにすれば、筋トレやダイエットと同じで、以前なら絶対に無理だと思えたことでも、少しずつ実践できるようになります。

何より、プラスアルファの魔法を実践することで、嫌な気持ちになるよりは、清々しく晴れやかな気持ちになることが多くなりますので、今から実践してみましょう。

それでは続いて、真の豊かさに気付いたセールスパーソンのその後について、見ていきましょう。

プラスアルファの実践

彼は直ちに、解決できない問題で苦しんでいる人々の役に立つことを思い立ち、実行に移しました。

最初に出会ったのは、カリフォルニアの砂漠に、金鉱を探しに来ている青年でした。

時間と費用を費やし、金鉱を夢見て懸命に努力したようですが、ついに金鉱は発見できず、カリフォルニアの不毛の荒野で、飢えに苦しんでいたのです。

そこでこのセールスパーソンは、慈善団体のように、この飢えに苦しむ青年の救済に乗り出しました。

彼は青年を家に招き、食べ物を与え、勇気づけ、そして最後には、地方の航空会社に職を見つけてやりました。

自分よりも不幸な人間を助ける機会が、あまりにも早くやってきたため、彼は「自分には疫病神でも取り憑いているのではないか」と思ったほどです。

しかしこれは彼にとって、人柄や人格を試される、一つの試練だったのです。

あなたにも、同じような試練がやってくるかもしれません。

素質や能力と共に、人間性や人柄といった、個人の全てが試される日がやってくるかもしれません。

しかし、それを恐れてはいけません。

それはむしろ、自分に与えられた一つの特権であり、内なる自分の強さや、豊かさを証明する最大のチャンスなのです。

ここまでで学ぶこと

プラスアルファの魔法の実践を軽んじる人は「どうせ他人は、自分のことなんて覚えていない」と考えている人です。

確かに、人は他人の事をそこまで気にしているものではありませんが「インパクトを与えること」に関しては、覚えているものです。

これは、プラスのインパクトでも、マイナスのインパクトでも同じです。

例えば、自分に良くしてくれた人のことは覚えているのと同様に、自分に酷いことをした人のことも、きちんと覚えていますよね。

実際に、それを実現化した映画や漫画、ドラマのワンシーンは、誰もが目にしたことがあるでしょう。

自分が街中で酷い態度を取った相手が、これから向かう商談先の重役だった、などのあれです。

印象がなければ、誰も気に留めることはありませんが、プラスでもマイナスでも印象を与えている以上は、記憶に残ってしまうのであれば、プラスに残すべきです。

自分が大企業の重役や役員になれば、無縁になると思われるかもしれませんが、そうなれば、今度は街中の一般の人が、自分の会社の株主だったりするわけです。

つまり、自分の立場が上がれば上がるほど、自分は相手のことを知らなくても、相手は自分の顔を知っている可能性が上がっていくのです。

だからこそ、誰にでもプラスの印象を残せるような人物になることが、とても重要になってきます。

成功を志すのであれば、今からその予行演習を行っておくことは、必ず将来に役立っていきますので、率先して実践していきましょう。

それでは、セールスパーソンにその後、どのように返ってきたのかについて、見ていきましょう。

プラスアルファの魔法が彼に与えたもの

もし、あなたがその試練に対して、積極的な心構えで臨むなら、全ての逆境は、それと同等か、それ以上の利益をあなたにもたらすでしょう。

保険のセールスパーソンが、見事に試練を耐え抜き、逆境を成功へと転化しました。

その日を境に、彼の人生は一変しました。

まるで魔法のように、彼の売り上げは上昇し、常に高い水準を保つようになりました。

そして、未だかつて記載したことのないような、高額の保険契約書に自ら記入することになりました。

どうしてそうなったのでしょうか？

セールスパーソンの紹介によって、航空機工場に就職した金鉱探しの青年は、その職務に励みました。

彼は、その会社で労働時間の短縮と、生産の合理化を成功させ、会社は生産工程の省力化で、特許を取ることができました。

こうして青年は、経営者に好評を持って迎えられるようになり、機が熟するのを待って、かつての保険のセールスパーソンに、恩返しをすることになります。

彼は社長の同行を求めた上で、その恩人のロサンゼルスの保険会社を訪れ、会社の役員を対象とする、五万ドルの保険契約を結んだのです。

まもなく、この保険のセールスパーソンの元には、保険契約を結んだ人たちの、友人や仲間が訪れるようになりました。

そして、保険加入についての、彼のアドバイスを求めるようになりました。

保険業は順調に伸びて行き、ついに彼は、念願の目標を達成することができました。

MDRT、ミリオン・ダラー・ラウンド・テーブル。

100万ドルの円卓会議の終身会員となったのです。

MDRTは、3年連続で年間100万ドル以上の生命保険を売り上げた者にのみ与えられる栄誉であり、全ての保険のセールスパーソンの目標でした。

プラスアルファの努力をするノウハウに共鳴し、その教えに従って生きるようになってから、六年が経ちました。

彼は、その年の最初の四ヶ月で、200万ドル以上の生命保険の成約を果たしました。

その活躍の程は国中に広まり、遂に彼は、生命保険業界の会長に選出されるまでになりました。

彼は、会員の圧倒的な支持を受けて再選された、唯一の会長です。

ほとんどの人が、自分の業績だけに目を奪われている中で、彼は自分の競争相手にさえ、セールスの方法を教えたのです。

その成功の秘密を、彼は喜んで人々に伝えました。

謙虚な気持ちと、単純かつ効果的なノウハウに支えられた、彼の成功の秘密は、なんといってもプラスアルファの魔法の中にあるのです。

ここまでで学ぶこと

プラスアルファの魔法は、いつどこでどのような形で返ってくるかは、見当のつかないものです。

そして、そのほとんどは掛け捨てのようなものであり、返ってくることのないものです。

しかし、それでも実践するだけの価値がある、成功ノウハウなのです。

これは、世の中の商売が成り立っている事を考えてみれば、至極真っ当な理論でしょう。

何より、誰を傷つけるわけでもなく、そして関わった人たちに喜びを与え、自分も良い行いをしたことで、気分が良くなるという全員を幸せにする魔法です。

これは、成功哲学という分野で「魔法」という言葉を使っているのにも関わらず「胡散臭い」という印象を持たせないことが、何よりもの証明でしょう。

プラスアルファの魔法を使うから成功できる、のではなく、これを実践できるような自分へと変わることが、心構えから変わっていくということです。

これは、現在まだ目標を設定できていなかったり、消極的心構えに囚われている人でも、今すぐに実践できる成功哲学です。

実際に何をすると、周囲と自分がどう変わるのかは、現実で試してみれば、見返りはともかくとして、すぐにその効果を実感できることでしょう。

「Do It Now」今すぐやれ！のナポレオン・ヒルの成功哲学に習って、プラスアルファの魔法を実践してみましょう。