マーフィーの法則とマーフィー理論|パロディの法則と勘違いを解説
世間では、マーフィーの法則という言葉が広く使われています。
私は、マーフィーの法則という言葉で会話が進む時には、必ず「ポジティブな法則ですか?それともネガティブな法則ですか?」と聞いています。
そうすると、ほとんどの人が「ネガティブな法則」と答えます。
そして、実際に1970~1990年代の日本のIT業界でも「ネガティブなマーフィーの法則」を、真摯に捉えている傾向がありました。
具体的には、ネガティブなマーフィーの法則を、ポジティブに訓戒として捉えれば、業務におけるトラブルを、未然に防げるとされていたのです。
しかし実際には、本来元々ポジティブな内容でオリジナルが在ったのにも関わらず、わざわざネガティブを通して、一周回ってポジティブに捉えていたのです。
そして、2000年代に入ると、先程の日本のIT業界の流れを、そのまま海外で恋愛ドラマとして組み立てられ、人気を博しました。
ネガティブな方向に捉えがちな主人公が、マーフィーの法則の捉え方を活かして、段々とポジティブに変わることで、恋愛に真摯に挑んでいくというものです。
これらの現象は、なかなか興味深い事象ですよね。
・マーフィーの法則ってなんだっけ?
・それってマーフィーの法則だよね!
・マーフィーの法則は凄い当てはまる!
このような言葉を、何も知らずに普段から何気なく使用していた人にとっては、ちょっとビックリしてしまう内容になるかもしれません。
しかし、敢えてこのタイミングでこの内容を出したのにも、きちんと理由があります。
なぜなら、この事象こそが論より証拠となるからです。そこでこの記事では
・存在しないジョセフ・マーフィーの法則
・なぜ存在しない言葉が生まれたのか
・正しいジョセフ・マーフィー理論とは
これらについて、ジョセフ・マーフィーの潜在意識の法則に20年従事している専門家が、詳しく解説していきます。
1982年生まれ。2004年(22歳)から20年間自己啓発の世界に身を置き、自己啓発のプロフェッショナルとして営業、社内講演や研修をメインに活動していました。
ナポレオン・ヒル財団・アジア/太平洋本部で、日本唯一の販社オーナーとして当時の個人、代理店共に月間セールス日本一の記録も保持していました。
以下の自社取扱いプログラムを所有、実践しており、ナポレオン・ヒルが一番好きです。
- ナポレオン・ヒル(成功哲学の祖。「思考は現実化する」など成功法則を体系化)
- ジョセフ・マーフィー(マーフィーの法則や潜在意識活用法)
- マクスウェル・マルツ(サイコ-サイバネティクス理論)
- ジグ・ジグラー(自己イメージ改造理論)
- ブライアン・トレーシー(営業の神様)
- デール・カーネギー(道は開ける・人を動かす)
- ジョー・ヴィターレ(引き寄せの法則を広めた「ザ・シークレット」の賢人エイブラハム)
現在はほぼ隠居状態でのんびり、山籠りで自給自足の生活も良いなぁとか考えたりしてます。
ジョセフ・マーフィーの法則とは
まずジョセフ・マーフィーの法則というものは、厳密に言うと存在しません。
なぜなら、そのように名付けられた法則というものが無いからです。
世の中に「◯◯の法則」という言葉があるなら、実際にその内容が存在しないと、おかしいですよね。
例えば「代価と報酬の法則」というものであれば、代価を支払わない限り報酬はない、報酬の量は代価に見合ったものである、というものです。
また「類友の法則」というものであれば、自分の周りには自分の思考や行動パターンの似た人が集まる、といったものですよね。
では、ジョセフ・マーフィーの法則とは?
そうなんです、おそらく誰も答えられないか、別のものをジョセフ・マーフィーの法則として答えてしまっているのです。
なぜなら、そのような法則は存在しないからです。
では、なぜそのような言葉だけが独り歩きしているのかというと、良く分かっていない人たちが伝言ゲームした結果によるものです。
こうして「ジョセフ・マーフィーの法則」という、蜃気楼のような名称が誕生したのです。
これには、パロディの「マーフィーの法則」も一端を担っています。
パロディのマーフィーの法則とは
皆さんが混同している「マーフィーの法則」とは、後述するジョセフ・マーフィー理論を、面白おかしく皮肉を交えて、日常に置き換えたパロディーネタです。
よく皆さんが勘違いしている、マーフィーの法則の著名な例を挙げますと
・落としたトーストが、バターを塗った面を下にして着地する確率は、カーペットの値段に比例する
などといったものですが、これはよくテレビで芸人さんがコントで「あるあるネタ」というものをやるのと同じです。
潜在意識を活用するマーフィー理論が、ポジティブな考え方を保持することが重要であることを説いているのに対して、ネガティブに向けることで面白くしています。
これは自虐ネタでもあることから、日常で起きる悲観的なことを、面白おかしくすることで、一般大衆から非常に好評を得たのが始まりとなります。
こうして、当初の意味やオリジナルよりも、後発の意味やパロディの方が認知度が上がることで、意味が変わってしまうことはよくあることです。
現代の日本で言うなら「壁ドン」や「床ドン」などもそうですよね。
「壁ドン」は、本来は隣人の声や音が煩い時に、壁を叩いて静かにさせたり、腹立たしいことが合った時に、壁を殴って当たり散らす意味で使われていました。
「床ドン」も同様に、腹立たしい時や、引き篭もりの人が家族にご飯の要求をする時の合図などで使われていた用語です。
これらが気づけば恋愛における、女性がキュンとするシーンに置き換えられてしまっています。
言葉の意味が変わってしまうことが悪い訳ではないのですが、マーフィーの法則の場合には、正しい意味を理解した方が、人生の役に立つのは確かです。
それでは続いて、マーフィー理論がなぜ有名なのかについて、詳しく解説していきます。
ジョセフ・マーフィー理論は何で有名なの?
ジョセフ・マーフィーが生涯に渡って、著作や講演などを通じて説き続けたものは「潜在意識の力と心の関係」です。
ジョセフ・マーフィー博士は、次のように人生の成功も失敗も、全てその人の心に原因があると説いています。
「あなたが習慣的に考えていることは、何でも潜在意識の中に沈み込み、この潜在意識は、あなたの思考の性質に応じて反応を起こします」
「あなたの潜在意識は感情の源であり、また創造力の湧き出る源でもあるのです。良いことを考えれば良いことが起こり、悪いことを考えれば悪いことが起こります」
「それは心身の健康についても同じです。あなたの人生は良くも悪くも、自分が心に思い描いた通りになります」
「そして、あなたが本当にそう願い、信念化するならば、潜在意識の力が導き出され、必ず目標は実現されるのです」
これがジョセフ・マーフィー博士による人生の黄金律、すなわちジョセフ・マーフィー理論です。
この考え方が、当時の悩める人達を救ったことから、世界中で有名となりました。
ジョセフ・マーフィー理論も願えば叶うということ?
皆さんが勘違いしているジョセフ・マーフィーの法則(正しくはジョセフ・マーフィー理論)というものは「願えば叶う」という浅いものではありません。
これでは「やればできる」と言った精神論や、野球で例えるなら「振れば当たる」といった極論になってしまいます。
これではむしろ、願っても叶っていない人の方が多いでしょう。
願えば叶う程度の理解度で何かを行っても、せいぜい「何となく気が楽になった」「なんか良い感じ!」程度で終わってしまいます。
願っても叶わない最大の原因は、潜在意識の状態に問題があるので、まずはその土壌となる潜在意識の状態を整えましょう、というのがマーフィー理論なのです。
分かりやすく例えるなら、干からびた大地に種を植えても、何も育たないのと同じです。
干からびた大地に一生懸命に植える種を変えたり、諦めることなく芽が出るまで種を植え続けたところで、成果が変わることもありません。
干からびた大地で作物を育てたいのであれば、まずは土壌に水を通し、肥料を蒔いて耕すことで、有機物を土に含ませて、生きた土地に変えましょうということです。
潜在意識、つまりあなたの心にも、土壌を整えるのと同じことを行うことで、願望や目標を達成できる自分へと変わることができる、という理論です。
マーフィー理論がトンデモ理論になっているケース
これまでの内容で、ジョセフ・マーフィーの法則というものが存在せず、正しくはマーフィー理論であるということはご理解頂けたでしょう。
次に訂正しないといけないのは、伝言ゲームやなんとなくでジョセフ・マーフィーを語っている人がとても多いので、こちらを是正しなければいけません。
なぜトンデモ理論で語られている人が多いかというと、専門家ではない素人の人が、それっぽいことを話しているケースがとても多いからです。
自己啓発には、資格というものもありませんので、本を読んだだけで語り始める人も多くいらっしゃいます。
実際に、ジョセフ・マーフィーの法則というものが存在しないのに、こんなにも多く語られていることが、その事実を証明していますよね。
マーフィー理論においても、潜在意識が中心に語られているものになります。
この記事をご覧の人からしたら「そうなんだ~」と納得してしまうものでも、専門家の私からしたら、トンデモ理論がたくさん転がっています。例えばですが
・潜在意識は、自分でも分からない心の部分です
・自分でも意識できていない心の領域が、潜在意識です
残念ながら、これらは全て誤りです。
まずマーフィー理論もそうですが、自己啓発や成功哲学というものは、セオリーやロジックです。
これらは、何となくや抽象的なものではなく、れっきとした理論であり、学問なのです。
つまり、よく分からないものや意識できていないものは、潜在意識に落とし込まれることはありません。
たとえ良いことであれ、悪いことであれ「そう意識した」から、潜在意識に落とし込まれるのです。
生活習慣もそうですが、無意識で出来るレベルまで反復して、落とし込んだからこそ
・潜在意識に任せっぱなしでも、歯磨きができたり
・毎晩帰宅したら、まず無意識で冷蔵庫にあるビールの缶を開けたり
このような習慣化した行動を取るのです。
実際に、パロディのマーフィーの法則である「あるあるネタ」もそうですよね。
こうして解釈を間違えたり、誤りを正しいものであると勘違いしてしまうと「ジョセフ・マーフィーの法則」という、蜃気楼が出来上がってしまうのです。
ジョセフ・マーフィーの法則をマーフィー理論に変える
ネガティブに皮肉を交えて、面白おかしくエピソードにしたマーフィーの法則も、面白いし共感できる事実が多いのは確かです。
しかし、どうせならそのベクトルを、冒頭のようにネガティブから本来のポジティブな方向へと変えて活用した方が、人生をより豊かなものへと変えることができます。
もしかしたら「そんなのちょっとした違いじゃん」と思われる人もいるかもしれません。
しかし、この「ちょっとの差」というものが、先に進み続けると「大きな差」に変わります。
また、入り口では角度にしたらたった一度の差でも、そのまま突き進めば、気付けば何十度と角度はズレるのです。
実際に、始まりの「ちょっとの差」で、ジョセフ・マーフィーの法則という蜃気楼が出来上がりましたよね。
これがもし、ご自身の人生や、ビジネスで起きた事象だとしたらいかがですか?
存在しないものを信じて突き進んだり、正しいと信じ込んでやった結果が、実は間違っていたら、取り返しのつかない破産や、倒産という事態をも招きかねません。
物事を正しく理解するためにも、本来在るものを正しく学び、マーフィー理論を自分の人生に活かしていきましょう。