【思考は現実化する】解説|ナポレオン・ヒルが地域全体を便利に変えたエピソード
今回の「思考は現実化する」の解説内容は、ナポレオン・ヒルがプライベートで、成功哲学を実生活に活用したことで、自分だけに限らず、地域全体をも変えてしまうことになった実話です。
この話の面白いところは、たくさんの成功ノウハウが詰め込まれているので、聴く人のレベルや、気にしているポイントによって、様々な気付きが在るところです。
成功哲学と聞くと、どうしてもその言葉の意味から「仕事にしか使い道はないのではないか?」と疑問に思われる方も非常にたくさんいらっしゃいます。
しかし、成功哲学というものは、実生活でも十分に活用できるものです。
実際に、私達の元へ
・家庭環境を改善したい
・子供の教育に活用したい
このような想いから、プログラムを導入される方も多いのです。
それでは実際に、ナポレオン・ヒルがどのようにして、成功哲学を実生活に活かしていったのかについて、見ていきましょう。
価値ある思考
私が21歳になる前に、いかにこの成功ノウハウが実際の生活に応用できるものであるかは、実証済みでした。
私は当時、結婚したばかりでワシントンに住んでいました。
ウェストヴァージニア州のランバーポートという小さな村に、妻の家族を初めて訪ねて行った時のことです。
ワシントンを出るときに、私は、よそ行きの服を一揃い買い込みました。
ランバーポートへ行くためには、そこから二マイルほど離れた、電気も通っていないヘイウッドという街へ行き、さらに馬車に乗らなくてはなりません。
ところが、来るはずだった馬車は、結局こなかったのです。
土砂降りの雨の日でした。
私は、大きなスーツケースを両手に抱え、しかたなく、土砂降りの雨の中をランバーポートに向けて、 2マイルの道のりを歩き出しました。
ランバーポートに着いた時には、私の一張羅は、惨めなボロ着に変わっていました。
でも、この経験は最終的に私にとって、とてもラッキーなものになりました。
このおかげで、6カ月も経たないうちに、私は何百万ドルもの価値あるものを手に入れたのです。
このとき初めて、私はカーネギーの「成功ノウハウ」を実際に活用していたのです。
私は、義兄に会うと「ここに電車を走らせるわけにはいかないのでしょうか?」と尋ねました。
「そうすれば、馬車を待つ必要もなくなるし、 いろいろと便利になるでしょうにね」
義兄は「今、あの崖を越えて来るときに川を見ただろう?」と言います。
私が「はい」と答えると
「あれがあるから、電車を走らせられないんだよ。 俺たちだって10年も前から、電車を走らせることはできないものかと、いろいろ考えてきたんだ」
そこで私は
「10年もですって? 私だったら6カ月で電車を走らせてみせますが…」と言ってしまいました。
彼は、こう言いました。
「ほう、すごいじゃないか。 とうとう、うちの家族から英雄が生まれた。 ぜひ、やってみせてくれよ」
もう、雨はやんでいました。
私は義兄と一緒に、レールを敷くことができない原因になっている、川を見に出かけました。
義兄は、この川に単に橋を架けるだけでも、10万ドルの費用がかかると話してくれました。
その金額は、電車を走らせるために電鉄会社が用意した資金よりも、ずっと大きなものでした。
私はそれを聞いて、思わずそこに立ち止まり、どうしたら、あの馬鹿な発言を取り消すことができるだろうか、と考え込んでしまったものです。
その川は堤防が100フィートほどの高さで、曲がりくねった田舎道がその一方の川岸を走り、小さな、今にも落ちそうな橋を通って、向こう岸の堤防に続いていました。
向こう側の川岸は、約14の線路の方向転換所になっていました。
そこは、石炭運搬用の貨車が走る線路でした。
私は川岸に立って、それらを見ていましたが、そのとき、いつも私が困難な場面に出くわしたとき、私の後ろに立って、私を導いてくれる、あの透明人間が現れたのです。
彼は、また私の耳にささやきました。
「向こう岸に立っているお百姓さんが見えるかい。 あの人は、あの石炭運搬用の貨車が通り過ぎるのを待っているのさ。その間は、あの田舎道は通れないからね」
私は、これを聞いて解決策を思いつきました。
3つのグループが、この川を渡る橋を必要としているのです。
石炭運搬の鉄道会社にしてみれば、田舎道との交差点の踏切で、もし何か事故が起こったら、その補償の費用は、新しく橋を建設する費用の何倍もの支出になってしまいます。
自治体も、同じリスクを負っています。
そして電鉄会社は、ランバーポートを訪れる人がとても多いので、橋を造りたがっているのです。
一週間後、私は石炭運搬のピオノール鉄道会社、地方自治体、電鉄会社の3グループを協力させるよう、話をつけていました。
そして、6カ月後には、ランバーポートに電車で入った最初の人間になったのです。
その後、1934年に、私はランバーポートを電車で出る最後の人間になりました。
というのは、その時をもって、電車の路線は廃止し、代わりに、ここにはバスを走らせることになっていたからです。
このエピソードから学ぶこと
さて、この記事をお読みの方は、どこが一番惹かれたポイントでしたでしょうか?
また、いくつのポイントに気付くことが出来たでしょうか?
1つ目のポイント
1つ目のポイントは、成功哲学というものも、脳力も、使わなければ無いのと同じである、ということです。
成功哲学とは、知って満足して終わるものではありません。
何に活用できるかと考え、自分自身の人生に適用しなければ、それは豚に真珠、猫に小判となってしまうのです。
世間でよく揶揄される「ノウハウコレクター」と呼ばれないためにも、知って、関係付け、ちにく化し、適用して価値に変えるようにしましょう。
2つ目のポイント
2つ目のポイントは、常にアンテナを張っておくことです。
先程のエピソードでも義兄に会った際に
「ここに電車を走らせるわけにはいかないのでしょうか?」
と尋ねていますが、なぜそれをしたのかを考えてみましょう。
ナポレオン・ヒルは、解決できないその原因が、どこにあるのかを知りたくて質問しています。
それがなければ、この質問はただの愚痴になってしまいますよね。
好奇心旺盛であることは、とても素晴らしいことです。
人間の創作物の主人公で、好奇心旺盛でない人はいないことからも、これは明らかです。
3つ目のポイント
3つ目のポイントは、ナポレオン・ヒルが、積極的心構えの持ち主であったということです。
積極的心構えを持っていなければ、ナポレオン・ヒルの発言や行動というものは生まれません。
事実、住民たちは誰もが考えてはいても、それを実行することはありませんでした。
これは地域の鉄道会社、自治体、電鉄会社も同じです。
積極的心構えの反対は、消極的心構えとなります。
これらを、ポジティブとネガティブと捉えて頂いても結構ですが、ネガティブというのは、何もマイナス思考に限ったものではないのです。
そして、ポジティブと遠くかけ離れているのですが、混合されがちな思考パターンが、オプティミズムという楽観思考です。
分かりやすく例えるなら「なんとかなるさ」「大丈夫大丈夫」という、良い方に考えて心配せず、気楽に考えることです。
正しい積極的心構えというものを身につけていると、あなたの周囲に人が集まるようになったり、物事がうまく進むようになります。
4つ目のポイント
4つ目のポイントは、目標設定とその達成計画を立てることです。
もし、そうでなければ「6カ月で走らせてみせますが」などとは言えないでしょう。
つまり、このとき既に、ナポレオン・ヒルの中では、ある程度のプランが思いついていたのです。
そうでなければ「6カ月」と明確な期間など提示できません。
結果的には状況を確認してみたら、予想よりも酷い状態であったため、後悔を生むことになっていますが、それでも無事に計画を変更して、期日通りに目標を達成しています。
5つ目のポイント
5つ目のポイントは、プラスアルファの魔法を実践していることです。
プラスアルファの魔法とは、一センチ余分に進むことです。
例えば、与えられている給料や、報酬以上のサービスを自ら進んで行うことです。
自分が、必ずやらなければならないことに、必ずプラスアルファを付けるようにすることで、それはいつか、より大きなものとなって自分に返ってくるという考え方です。
チップ文化のない日本にとっては、あまり馴染みがないかもしれませんが、返報性の法則とも言われていますよね。
自分にとって利益といえば「便利になる」程度のことに、ここまで一意専心することは、立派なプラスアルファの魔法です。
そうでなければ、家族だけに限らず、地域の鉄道会社、自治体、電鉄会社の間に入って、まとめ役を果たすようなことはしないでしょう。
6つ目のポイント
6つ目のポイントは、想像力を使いこなしていることです。
ナポレオン・ヒルの成功哲学において、想像力というものは2種類に分類されます。
それは改良てき想像力と、独創的想像力です。
改良てき想像力とは、既存のものや経験などから、再構成して新しいものを生み出す想像力です。
独創的想像力とは、閃きやインスピレーションと呼ばれている想像力です。
今回のエピソードでは、2つの想像力が、どちらも最大限発揮されるような形で活用されています。
7つ目のポイント
7つ目のポイントは、パーソナルイニシアティブ、つまり自主性です。
誰もが考えているが、誰もやろうとしていないことを、率先して挙手をし、実際に行動に移したのがナポレオン・ヒルです。
仕事でもプライベートでも、自主性というものは、プラスの効果を発揮することはあっても、マイナスの効果を生み出すことはありません。
例えば、率先してプロジェクトに参加したり、自分から家事を手伝ったりすることで、文句を言う人はいないでしょう。
8つ目のポイント
8つ目のポイントは、マスターマインドを築けていることです。
マスターマインドとは、明確な目標を達成するための二人、ないしはそれ以上の人たちによる調和された知恵(そして知識)と、努力の協力関係のことを指します。
今回のケースで言うならば、鉄道会社、地方自治体、電鉄会社、そしてそこに暮らす住民です。
全員にメリットという報酬があり、かつ同じ方向を向いて取り組むことで、自分ひとりでは到底無理な難題でも、解決することが出来るようになります。
9つ目のポイント
9つ目のポイントは、潜在意識を活用していることです。
話の中で出てきた「透明人間」が、まさにそうです。
潜在意識を正しく活用できていると、この「透明人間」が、アドバイスをくれることもありますし、後押ししてくれることもあります。
逆に、潜在意識を放っておいたりすると、この「透明人間」が、常にあなたの考えや意見に対して、否定的であったり、あなたを萎縮させるような、態度や発言を繰り返すようになります。
これは分かりやすく例えるなら、漫画やアニメで出てくるような、天使と悪魔の葛藤で悪魔が常に勝っているのようなものです。
成功哲学を活かして自分の人生に役立てよう
いかがでしょうか?
ざっくりと挙げるだけでも、これくらいの気付きのポイントがあります。
このエピソードからでも分かる通り「価値ある思考」というものは、不可能をも可能に変える力を持っているのです。
この記事をお読みの方も、成功哲学を、仕事やプライベートの実生活に応用して、より良い人生を生きていきましょう。