【思考は現実化する】解説|逆境を乗り越えた人のスピーチ
ヘンリー・ヴィスカーディ・ジュニアのスピーチ
今回の「思考は現実化する」の解説内容は、あるナポレオン・ヒルゴールドメダリストによるスピーチの内容です。
ナポレオン・ヒル・ゴールドメダルとは、ナポレオン・ヒル・プログラムを活用して成果を収め、その功績を讃えられて表彰された人のことです。
ナポレオン・ヒル・ゴールドメダリストには、ドミノピザ創業者のトム・モナハン、コカ・コーラ社元最高経営責任者のドナルド・キーオ、世界最大の不動産会社センチュリー21創立者でもあるアーサー・E・バートレット、クライスラー社元会長のリー・アイアコッカ、CNN他2局の放送局を持つTBSの会長テッド・ターナーなどが名を連ねています。
さて、あなたは今、何か問題を抱えていますか?
また、何かを行うことが困難になるような逆境を抱えていますか?
実はこれらの質問に「ありません!」と答えられる人は誰ひとりとしていないのです。
なぜなら、誰でも問題に大小の差はあれど、必ず抱えているからです。
実際にこれから紹介するエピソードのスピーチを行った人の抱えていた問題は、一般的な悩みを抱えている人よりも大きな問題であったはずです。
「小さい問題なら良いよね。私の問題はこんなに大きいのに…」と悲観する人もいますが、その問題は当人にとっては小さいと感じて、問題なく解決できると捉えているだけで、他の人からしたら絶対に解決することのできない、とてつもなく大きな壁と感じてしまうことはよくあることです。
前に進める人や、成果につなげることが出来る人というのは、その問題や逆境を乗り越えることが出来る力や、心構えを持っていたというだけのことなのです。
それでは、たくさんの人が心を動かされた、ある一人のスピーチについて見ていきましょう。
ヘンリー・ヴィスカーディ・ジュニア博士は、ヒューマン・リソーセス・センターを設立し、また身体の不自由な人のために多大な献金をしたという業績により、1984年にナポレオンヒル・ゴールドメダルを受賞しています。
ヘンリー・ヴィスカーディ・ジュニアは、ゴールドメダル受賞の際のスピーチで、次のように語っています。
「私はナポレオン・ヒルという偉大な名前のついたこのメダルを受賞することができ、深く感謝しております。
私は足を持たずにこの世に生まれました。
そして私の生涯の最初の7年間は、病院の中で育てられました。
27歳になるまで、つまり、私が身につけている義足をつけるまでは、立ち上がることすらできませんでした。
その間私は、重いハンディキャップを持った子どもとして、つらい生活と闘ってきました。
私の青年期は悲惨なものでした。
私は子どものころ、母に「どうして僕はこうなの?』と聞いたときの母の答えをよく覚えています。
彼女なりの知恵で、このように説明してくれたのです。
「世界でまた足のない少年が一人生まれなければならなくなったのよ。 天国で神様と天使たちは、どの家族にその少年を送り込んだらいいか、 話をしたの。そのとき神様は、ヴィスカーディ家が、そういう少年を送り込むのに最もいい家庭だと決めたのよ」というのです。
私はアメリカに住み、そしてこの国は私の理想を育んでくれました。
この国は私に身体の不自由な人としてではなく、他の人とまったく平等な一人の人間として自分の運命を切り開いていく、自由な機会を与えてくれました。
つまり、愛する女性と結婚する自由、それから自分のやりたいことができる自由です。
何年も前のことですが、ある一人の医師が私の人生に大きな変革をもたらしてくれました。
彼は初めて私に義足をつけてくれ、 まっすぐ立つことを可能にしてくれたのです。
そのとき私は、義足の代金を支払うことができませんでした。
しかし医師は私にこのように言ったのです。
「私が君にしてあげたことを、君がもう一人のハンディキャップを持った人に対してしてあげられるならば、それで十分です」
そして今、私はここで皆さまに次のようなお約束をしたいと思います。
この世に保証よりもチャレンジを好み、生きることのスリルを味わいたいと思っている身体の不自由な人が一人でもいたならば、私はその人のために、私のエネルギーのすべてを捧げたいと思います。
願望や目標を持つのは義務であって、決してぜいたくなことではないのです。
願望とは、夢見ることではなく、夢を現実に変えていくことなのです。
夢を持って、その夢の実現のために代償を支払う用意のある人は、幸せだと思うのです。
私はありふれた人間ではありたくないのです。
私は安定を求めるのではなく、機会を求めたいと思います。
そして願望を明確にし、人生設計をし、自分の目的のために冒険したいと思っています。
私はほどこしを受けたくはありません。
私は自由を、どんなものとも引き替えにしたくありません。
また他人の奴隷にもなりたくはありません。
おどしにも屈しません。
私は自分で考え行動したいと思いますし、自分がこの世に生まれてきたことの恩恵を享受したいのです。
私は堂々と世間に顔を向け、自分はこれだけのことをやったんだ。 と言いたいのです。
私はあなた方に対して願っていることがあります。
それは身体の不自由な人に対して願っていることとまったく同じです。
私はあなた方に対して、そしてまたハンディキャップのある人に対して、将来の成功と幸福を祈りたいと思います。
しかし、世間でいう成功とか幸福というのは、あまりにも安易すぎます。
私が強く願うのは、あなた方の生涯の残りの年月の毎日毎日が、真に意味あるものであってほしいということです」
聴衆の多くは目に涙を浮かべ、立ち上がってこの男性に拍手を送りました。
さぁ、ここまでの内容を聞いて、あなたはどのような学びを得ることができましたか?
世の中には、自分が成功できないことを自分自身や他人に納得させるために、十分な言い訳を用意して、やりたい自分や目の前の相手が、完全に何も言えないよう説き伏せることができる、完全防備の「成功できない理由」を考えることに一心不乱になる人もいます。
ある人は自分がいかにお金が無いかを主張したり、またある人は自分のこれまでの人生がいかに不幸であったかを語ったりします。
これらの人も、最初の一歩である心構えのベクトルさえ間違っていなければ、不幸を語るエネルギーと同じだけのものを使って、自分を目標や願望に突き動かすだけの活力を手に入れることができたかもしれません。
人は必ず、何もしなくても、何かをする上では必ずエネルギーを使う生き物ですので、どうせエネルギーを使うのであれば、自分にとって望ましいことに使うようにすれば、人生をより良い方向へと導くことができます。
そして、ヘンリー・ヴィスカーディ・ジュニアに義足を無償で付けてくれた医師の考え方にも、成功するためにとても重要な要素が含まれています。
それは、ナポレオン・ヒルの黄金率でもある「自分がして欲しいと思うことは、何よりもまず他人にそうしてあげることである」というものです。
人は誰でも自分本位になったり、自分のことを最優先に考えてしまいがちです。
恋人や子供などの家族を持つようになると、他人を優先させることについても理解が進むものですが、それでも万人に黄金率を実践することはなかなか難しいものです。
しかし、だからこそその実践に価値が生まれるのです。