プラスアルファの魔法|ナポレオン・ヒルの成功哲学
ナポレオン・ヒルの成功哲学の歯車の一つに、他人に進んで奉仕をする心というものがあります。
これを、ナポレオン・ヒルの成功哲学では、プラスアルファの魔法と呼んでいます。
この成功哲学は、今すぐにどこでも誰でも始めることが出来るものです。
そして、他の成功哲学の歯車と噛み合った時、このプラスアルファの魔法は、真の力を発揮します。
なぜなら、プラスアルファの魔法というものは、自分自身も、他人をも感動させ、動かすだけの力を持っているからです。
・周囲の協力を得ることが出来ない
・成功者はなぜ周囲を動かすのが得意なのか知りたい
こうした疑問を持っている人にとっては、プラスアルファの魔法を知り、実践することで、理想の成功者へ一歩近づくことが出来るようになるでしょう。
そこでこの記事では
・プラスアルファの魔法の力
・プラスアルファの魔法を実践した実例
これらについて、ナポレオン・ヒルの成功哲学に20年従事している専門家が、ひとつひとつ詳しく解説していきます。
1982年生まれ。2004年(22歳)から20年間自己啓発の世界に身を置き、自己啓発のプロフェッショナルとして営業、社内講演や研修をメインに活動していました。
ナポレオン・ヒル財団・アジア/太平洋本部で、日本唯一の販社オーナーとして当時の個人、代理店共に月間セールス日本一の記録も保持していました。
以下の自社取扱いプログラムを所有、実践しており、ナポレオン・ヒルが一番好きです。
- ナポレオン・ヒル(成功哲学の祖。「思考は現実化する」など成功法則を体系化)
- ジョセフ・マーフィー(マーフィーの法則や潜在意識活用法)
- マクスウェル・マルツ(サイコ-サイバネティクス理論)
- ジグ・ジグラー(自己イメージ改造理論)
- ブライアン・トレーシー(営業の神様)
- デール・カーネギー(道は開ける・人を動かす)
- ジョー・ヴィターレ(引き寄せの法則を広めた「ザ・シークレット」の賢人エイブラハム)
現在はほぼ隠居状態でのんびり、山籠りで自給自足の生活も良いなぁとか考えたりしてます。
プラスアルファの魔法
あなたが、人々から受けた親切や奉仕に対し、それに値する親切や奉仕を行うことは、あなたにとって素晴らしい出来事をもたらしてくれます。
これは、投資であり複利となって、やがて大きく育つことでしょう、とナポレオン・ヒルの成功哲学では語られています。
献身や奉仕は、必ず本人のところへ返ってくるのです。
献身と奉仕の精神を持って生きることは、人生に豊かな実りをもたらしてくれます。
大きな見返りもその一つですが、あなたの人格に対する、信頼も増大します。
また、あなた自身の積極的な心構えが持続するという点でも、大いに意義があります。
献身や奉仕に対して、開かれる世界は無限であり、それがさらに力強い勇気や、自信をあなたにもたらし、意欲や活力を呼び起こすのです。
この問題は、ナポレオン・ヒルの成功哲学の一セッションだけで扱うには、大きすぎる問題かもしれません。
しかし、このプラスアルファの魔法をここで述べることは、それ以上に大切な、そして重要なことなのです。
プラスアルファの魔法とは、本当の強さや豊かさを求めて、一マイル余分に進むということです。
言い換えれば、あなたにもたらされるサービス以上の、より良いサービスを相手に与える、ということです。
一マイル余分に進むということで、願望や目標を達成した人々の事例は、世の中に無数にあります。
いくつかの事例によって、明らかにされる教訓や思考法を、ノウハウとして身につけ、あなたの人生に活かせば、驚くほどの素晴らしい経験をすることができます。
ここまでで学ぶこと
プラスアルファの魔法とは、見返りを全く求めない投資です。
一般的な投資であれば「いつ」「どれほどの」見返りがあるのかを考えた上で「どこに」入れるかを検討した上で、資金を投入します。
しかし、プラスアルファの魔法の場合には、これらの全てを求めることをせずに、ただ投入する必要があります。
もちろん、そのほとんどは無駄に終わるかもしれません。
さらには、あなたのことを利用しようとする人も現れるでしょう。
そして、返ってきたとしても「いつ」返ってくるのかも「どれだけ」増えるのかも全くの未知数です。
しかし、それを続ける、ここにプラスアルファの魔法における、最大の難しさがあります。
ところが、意外とその見返りは大きいものなのです。
例えば、あなたのことを利用する人が現れたなら、ほんの少しのサービス精神や、奉仕によって、あなたにとって、今後省くべき人材の選別が可能になります。
逆に、あなたにも同じように返してくれるような人が現れた時には、絶対に離してはいけない相手が、シグナルを送ってくれているようなものなのです。
こう考えると、いつ返ってくるか分からない見返り以外にも、プラスアルファの魔法を実践する意味というものは、あるものなのです。
それでは続いて、実際にプラスアルファの魔法を実践した人たちについて、見ていきましょう。
プラスアルファの魔法を実践した経営者
これから、その事例を紹介します。
彼らの心構えを、是非あなたも掴んでください。
コスコブは、コネチカット州グリニッジの高級住宅街です。
そのコスコブで、スティーブ・メクセリーはテレビ販売とサービス、ビデオレンタルを業務とする、コスコブ・テレビ販売会社を経営しています。
テレビは高価なコンソール型から、車に搭載できる小型ポータブルまで、様々な機種が売り場の通路にまで、はみ出していました。
もう一方のコーナーは、レンタルビデオの棚になっています。
このコスコブは、ニューヨークでも最高のお金持ちが、マンハッタンの混雑を避けて移ってくる地区でした。
しかし、一角にはスタンフォードの、低所得者向けの住宅団地もあります。
これらのどちらも、メクセリーの店の顧客でした。
米国で一番のお金持ちと、一番の低所得者の両方が、顧客になっているわけです。
彼は、高価な新型テレビをお金持ちに売り、その下取り品を修理して、低所得者に売っていました。
メクセリーは、この二つのグループを、決して差別することはありませんでした。
どの客にも温かく、親切に親しみのあるサービスと、品質の良い商品を提供していました。
その商品の中には、彼自身が90日の保証をする、中古品も含まれています。
彼は時々、ある女性客のことを思い出します。
彼女は、スタンフォードの団地に住んでいました。
ある時、彼女が買った中古テレビが、保証期間の90日を二日過ぎた時に、壊れてしまいました。
ルールだけで判断すれば、彼は同情だけしていれば良いことになります。
その顧客が、どうしても修理したいというなら、有料ということになる訳です。
しかし、メクセリーはそのようなことはしませんでした。
彼は黙ってそのテレビを引き取り、別の中古テレビと、無料で交換をしてあげたのです。
その女性客は、喜んで帰っていきました。
すると、翌日から数日の間、同じ団地から四人の新規の顧客が、中古のテレビを買いに来たのです。
最初の女性客が、友人全員にコスコブテレビ販売会社の、親切な男のことを話したからです。
メクセリーは、プラスアルファの魔法を実践したのです。
「私の商売では、口コミによる宣伝は、印刷した広告よりもずっと効果があります。一人のお客の扱い方が良くても悪くても、そのお客の友人知人、全部に伝わります」
「ですから私は、間違っていないと思うことを、全部のお客にしています。公正に正直に対応し、誠意を示しています」
「そうすれば、いつの間にかこの店は人々がやってきて、買いたくなる店だという評判が立ちます」
「実際に、商売はうまくいっていますし、そのことが、私の生活を楽しいものにしてくれています」とメクセリーは話しています。
これこそが、プラスアルファの魔法の効果なのです。
プラスアルファの魔法というのは、支払われた金額以上の、より良いサービスをすることです。
メクセリーのような態度こそが、客を再び店にやって来させ、さらには友人を連れて来させるのです。
あなたが、ビジネスパーソンなどの組織の人ならば、そういう態度を取れば、上司や同僚たちが、あなたを頼りにするようになります。
そのことがあなたの一生に、昇進に次ぐ昇進の喜びを、味わわせてくれることにもなるのです。
ここまでで学ぶこと
プラスアルファの魔法は「言うは易し行うは難し」を具現化させたようなものです。
「頭では分かっている、けど実際に出来るかと言うと…」というところが、難しいポイントとなります。
しかし、プラスアルファの魔法の実践というものは、何か付加価値を付けたり、値引きをしたりしないといけないわけではありません。
例えば、これまでは事務的に接客していたものを、ひとりひとり笑顔で対応して、親切丁寧に接客するだけでも良いのです。
なぜなら、これだけでも今までとは比べ物にならないほど、変わっているからです。
こうして、親切丁寧に対応するように変えただけで、売上が上がり、時給を上げてもらえることがあるかもしれません。
あるいは、その接客相手の一人から「あなたの接客が気に入った。うちの店で働かないか?」とスカウトされることがあるかもしれません。
プラスアルファの魔法の見返りというものは、チャンスと同じで、いつも予期しない形で、唐突に訪れるものです。
それでは続いて、プラスアルファの魔法が、他の成功哲学の歯車と噛み合った時の力の偉大さについて、見ていきましょう。
エジソン唯一のパートナーとなった男
エドウィン・バーンズはある日、エジソンの助手になることを決意しました。
彼の決意は熱烈なものであり、行動へと駆り立てずにはおかないものでした。
バーンズは当時、エジソンの元へ旅立つための旅費にさえ、事欠く有様でしたが、ある日、彼は妻に
「私は貨物列車に乗って、エジソンの元へ行くつもりだ」と胸の内を明かしました。
「貨物列車だなんて、あなたが浮浪者に見えたら、エジソンは相手にしてくれないわよ、きっと」と妻は答えます。
「彼が僕をどう思おうと、そんなことは問題じゃない。大切なことは、僕が彼のために何ができるのかということなんだ」とバーンズは言いました。
この会話の中に示されている考えが、お分かりになりますか。
「見知らぬ人に、時間か金銭か寝床を提供した者は、自分自身の人生を祝福したのも同然である。なぜなら、それは必ず報われるからだ」という言葉があります。
エドウィン・バーンズは、トーマス・エジソンに恩義を施すつもりだったのです。
彼は、貨物列車に乗ってニュージャージーへ行き、直ちにエジソンの研究所に向かいました。
その時の彼は、ヨレヨレの、油と煤と埃だらけの服を着て、ボロボロのカバンを一つ手に下げた格好でした。
彼はエジソンの研究所に着くと、こう言いました。
「エジソン氏に会いたいのです」
「どんなご用件でしょうか?」と、秘書が応対に出てきました。
「私はバーンズと申します。エジソン氏のパートナーになる男です」
「残念ですが、今日はエジソンには面会の約束がございません。それに、パートナーのお話など全然聞いておりませんが」
「あなたはご存知ないでしょうが、私には分かっているのです。今ここにこうして現れているのが、何よりの証拠です」
二人の会話は、研究室の外にいた人々の注目を集め、人垣が出来ていました。
汚らしい格好の男が、大胆にも、有名なエジソンのパートナーになるのだ、と言って騒いでいる姿は、人々の好奇心を大いに刺激しました。
バーンズの背後には、嘲笑が渦巻いていました。
しかし、彼はこの嘲笑を無視して、もう一度秘書に向かって、自分の目標を話しました。
彼女はついに折れ、幾分、皮肉交じりの口調でこう言いました。
「それでは、できる限りのご協力をさせて頂きます。あなたの将来のパートナーに向かって、会うつもりがあるかどうか尋ねてみましょう」
そして、エジソンのオフィスへ向かう途中、振り向きざまに彼女は
「ところで、あなたはパートナーになるとおっしゃいましたが、どのレベルのパートナーをお望みなのですか?」
「肩書きなど問題ではありません」とバーンズは答えました。
しばらくすると、彼女が戻ってきました。
「エジソンがお会いになるそうです」
こうしてバーンズは、待望のトーマス・エジソンに会うことができました。
それから30分経ちましたが、何も起こりません。
45分経っても、何も起こりませんでした。
そして一時間経ったとき、事務所の人々も心配になり、成り行きを見るために、その中の一人を研究室に行かせてみることにしました。
研究室のドアを開けると、バーンズは腰をかがめて、資料室の床を磨いているところでした。
しかしながら、事態は順調に進んでいるようでした。
事務所の人々も、それぞれ自分のデスクに戻りましたが、ちょうどそのとき、エジソンが資料室へやってきて、バーンズにこう言いました。
「お若いの、床の掃除にはだいぶ手間取っているようだね」
臆することなく、バーンズは丁寧な口調で答えました。
「ミスター・エジソン。あなたが電球を発明した時にも、いささか時間が掛かったと記憶しています」
「実用に耐え得るようなフィラメントを見つけ出すまでに、一万回以上の実験をなさったと聞いております。しかし、あなたは成功するまで諦めませんでした」
「その通りだよ君、全くその通りだ」とエジソンは言いました。
床掃除に取り組む姿勢と、快活さが認められ、バーンズはエジソンの研究所に便利屋として雇われたのです。
それから数年、彼はいくつかの小さな仕事に従事しました。
エジソンのパートナーになると公言した手前もあり、どんな小さなチャンスも逃さないつもりで、日々努力を怠りませんでした。
下積みの毎日にも、始めに立てた目標を、忘れるようなことはありませんでした。
心の中では、常に彼はエジソンのパートナーであり、現在の仕事も、そのためのステップなのです。
やがて、希望が実現される日が来れば、彼の役割は、遥かに重大なものになるでしょう。
床を磨くことも、窓を綺麗にすることも、全てはその日のための修行です。
こうして下積みに耐えながら、彼はチャンスが来るのを待ちました。
そのチャンスが、いつどんな形で訪れるかは、誰にも分かりません。
もちろん、バーンズ本人にも分かりませんでした。
しかし、彼はいつチャンスが訪れても良いように、常に注意していました。
ある日のこと、彼はたまたまセールスパーソンたちが、会議をしている部屋にいました。
彼らは、エジソンが新たに開発した装置を、どうやって売るか話し合っていたのです。
その装置は世界で最初の、人間の声を録音して再生できる装置でした。
振動板と錫のメッキをした銅の筒、そしてそれを回すハンドルから成っていました。
それらがブリキの箱に配置されていたので、この装置は「ブリキの速記者」と呼ばれていました。
振動板に連結した針を、銅の筒に軽く当てて、ハンドルを回しながら振動板に向かって喋ると、振動板が振動します。
そうすると、針も動いて、素早く筒に溝が刻まれます。
再生する時は、普通に針を当てて、ハンドルを回しながら、振動板に耳を当てます。
そうすると、かすかに再生音が聞こえてくるというものです。
再生は五回か六回まで可能でした。
会議は、ブリキの速記者の販売促進のために、エジソンによって招集されたものです。
ブリキの速記者のあだ名の通り、エジソンはこれを、速記の代わりにならないものかと考えたのでした。
その会議は三日間続きましたが、セールスパーソンが誰一人として、その新製品を売りたいとは言い出しません。
なぜなら、会社の役員や、重役といった人々が、そんな機器を買うとは思えなかったのです。
「ブロンドの女性を一人雇う代わりに、この機器を買おう、などという社長なんかいませんよ」と一人のセールスパーソンが言いました。
その時「私にその機器を売らせてください。必ず売ってみせます!」という声が、部屋の中に響き渡りました。バーンズです。
「できるものならやってみたらいい」と、セールスパーソンたちは、反対もあらわにバーンズに向かってそう言いました。
機器は18キロの重さがあり、当然のことですが、現在のテープレコーダーに比べると、何もかも比較にならないものでした。
しかし、当時のことです。
バーンズは、それを持ってニューヨークへ行き、ブロードウェイを行ったり来たりしながら、ようやく一台を売りました。
そして、月末までに七台を売ったとき、研究所に戻って、その七台の注文書をエジソンの机の上に置きました。
「この注文書をご覧ください。この機器は確かに売れるということを、注文書が証明しています。後はただ、この新製品を国中に普及させるだけです」
それに対し、エジソンは次のように言って、握手を求めました。
「バーンズ君。きみが初めてここに来て、私のパートナーになると宣言したとき、私以外の全ての者がきみを笑った。しかし今、君を笑う者は一人もいない」
「良きパートナーとなった君に、心からお祝いを言おう」
「エジソンによって作られ、バーンズによって売られる」というキャッチフレーズが生まれたのも、その時です。
こうして、エジソンのその機器は、アメリカ中を席巻したのです。
バーンズは、粘り強さと自主努力の精神で成功しました。
しかも、彼は心身の自由を最大限に確保できるよう、自分の仕事を組み立てていたのです。
どのような資質が、バーンズをエジソンのパートナーにしたのでしょうか?
エジソンは、自分のために働いてくれる何千人という人材を持っていましたが、真のパートナーと呼べる人物は、一人もいませんでした。
しかも、バーンズのように、エジソンと関わりを持つことで、大富豪になった人物は一人もいません。
やはりバーンズには、他人にはない何かがあったのです。
その中で、とりわけ重要なのは、プラスアルファの努力です。
もし、あなたがこれまでの話の中から、バーンズの成功の秘密を発見し、それをあなたの願望や目標の実現に応用すれば、あなたも間違いなく成功することでしょう。
人々の注目や、好意を集めるのはあなた次第ですが、それは他人に媚を売るようなことではありません。
最大の奉仕や献身を行う人には、最大のチャンスが訪れるのです。
ここまでで学ぶこと
バーンズは、明確な目標と願望を持ち、そこに信念を育み、プラスアルファの魔法を、自身が行える最大の奉仕という形で献身しました。
その結果、エジソンの共同経営者になるまでに至ったのです。
バーンズの場合は、プラスアルファの魔法が、チャンスを掴むきっかけをくれました。
プラスアルファの魔法の見返りは、あなたにとっての直接的な利益ではなく、こうして間接的なもので返ってくる場合もあります。
もちろん、明確な目標を持つことで、チャンスに機敏になれていなければ、会議の重く気まずい空気に溶け込む、その他大勢の一員になって終わっていたことでしょう。
プラスアルファの魔法は、いつでも誰でもすぐに始めることが出来る、一見難しいようで単純な成功哲学です。
ですので、あなたも「明日から」と言わず、今からできる範囲で、プラスアルファの魔法に取り組んでみましょう。