【思考は現実化する】解説|心の力は驚異に満ちている|ナポレオン・ヒルの成功哲学
今回の「思考は現実化する」の解説内容は、とあるオペラの演出家として成功した女性と、ナポレオン・ヒルの仕事仲間に関する実話です。
世の中に、たくさんあるサクセスストーリーのどれを見ても、成功した人というものは、必ず他の人達とは比べ物にならないほどの、強い意志の力を持っています。
今回の内容では「人の心と意志の力」について、学ぶことができます。
・意志が弱くて、何事も続かない
・周囲に流されて、自分の意見を持てない
このような悩みを抱えている人にとっては、自分を奮い立たせるきっかけになるかもしれません。
今回の「思考は現実化する」の解説内容では
・人は誰でも成功できる素質を持っている
・意志の力の源
これらについて学ぶことができます。
それでは早速、名著「思考は現実化する」の内容について、ナポレオン・ヒルの成功哲学に20年従事している専門家が、ひとつひとつ詳しく解説していきます。
心の力は驚異に満ちている
マダム・シューマン=ハインクは、ワーグナーやリヒャルト・シュトラウスのオペラの演出家として知られています。
彼女は、ドレスデンでデビューした後、バイロイトでワーグナーのオペラを歌い続けます。
そして、1905年に米国に帰化しました。
これからのエピソードでは、彼女が歌手として、いかに成功を収めることができたのか、そのヒントを得ることができます。
まだ駆け出しのころ、マダム・シューマン=ハインクは、ウィーン皇室オペラのディレクターに会いに行きました。
その目的は、声のテストを受けるためです。
しかし、ディレクターは彼女の声を、テストしようとすらしませんでした。
彼は、この風采の上がらない少女を見ると、こう言ったのです。
「君のような特徴のない子が、オペラでどうやって成功するつもりなのかね。まぁ、そういう途方もない望みは棄てて、他に仕事を見つけた方が良い」
「君はどんなに努力しても、歌手にはなれないよ」
ディレクターは、オペラの知識については豊富であったかもしれませんが「燃えるような願望の力」についての知識は、まったくありませんでした。
もし、そのディレクターに、多少なりともその知識があったなら、一度のテストもせずに将来の天才を見逃す、などという間違いはしなかったでしょう。
ここまでで学ぶこと
この話は、とても希望に満ちており、世の中の多くの人たちを奮起させることができるエピソードです。
なぜなら、目標達成のために成功を志した時点で、その専門家目線で見て、例え光る才能や脳力を持っていなくても、成功できたというモデルケースだからです。
ディレクターの人も、その立場に立つ以上は、決して無能ではなく、見る目があるからこそ、そのポジションに就いているはずです。
ということは、それだけの観察眼を持つ専門家から見ても、当時のマダム・シューマン=ハインクには、将来性を見い出せる突出したものは、何も無かったわけです。
それでも実際に、最終的にはオペラの演出家になるまでに至りました。
これはつまり、自分には才能がなく凡才であっても、現在の自分には光るものがなかったとしても、成功を勝ち取ることは可能である、という証明になります。
もちろん、努力なしに勝ち取ることなど不可能ですから、マダム・シューマン=ハインクも、成功を勝ち取るために、血の滲むような努力を重ねたことでしょう。
それもこれもすべて、きっと
・オペラ歌手になること
・オペラ歌手として歌い続けること
・最終的にはオペラの演出も手掛ける
こうした明確な目標を持ち、そしてその達成のために、必要なものを知るための達成計画を練り上げ、確信を得て、そのための努力を惜しまなかったはずです。
・自分には才能がない
・自分には秀でたものが何もない
もし、現在このように考えているのだとしたら、マダム・シューマン=ハインクのエピソードから「その点は別に問題視する内容ではない」という確信を得られます。
それでは続いて、人が生存欲求のために持つ、意志の力について見ていきましょう。
生きたいという意志の力
かつて、私の仕事仲間が病気で倒れたことがありました。
その仕事仲間の病気はどんどん悪化して、遂には入院をして手術を受ける、ということになりました。
そのとき医師は「助かるチャンスは、ほとんどない」と私に言ったのです。
しかし、それは医師の判断であって、患者はそうは考えていませんでした。
担架で病院に運ばれようとしたとき、彼は私にこう言いました。
「心配しないでください。 数日で退院しますから」
側にいた看護婦は、同情の眼差しで彼と私を見つめていました。
しかし、私との約束通り、彼は無事に退院したのです。
当時を思い返してみれば「もうだめだ」と考えていたのは医師の方で、患者は「必ず治る」と確信していたのでした。
「生きたいという意志の力が彼を救いました。 もし、少しでも死を受け入れる隙が彼にあったなら、手術は決して成功することはなかったでしょう」
と後で医師は私に言いましたが、その通りなのです。
「生きたい」という意思の力、これは燃え立つような願望そのものです。
私は、願望の力を信じています。
というのも、私はそれを裏づける、多くの人々を見てきたからです。
燃え立つような願望を持って、どん底から出発して、地位と富を手にした人たちを、数多く私は見てきました。
それこそ、片足を棺桶に突っ込んだような人が、燃え立つような願望を持って、再び健康になるのも見てきたのです。
燃え立つような願望を持って、不幸のどん底からカムバックした人も見てきました。
ブレイアは耳が無いにも関わらず、普通の、しかも幸福な人生を歩むようになりました。
そして彼も、燃え立つような願望を持っていたのです。
ここまでで学ぶこと
人間は、賢くなればなるほど「見切り」が早くなっていきますが、これが決して一概に悪いというわけではありません。
最初のマダム・シューマン=ハインクのエピソードに出てきたディレクターもそうですし、こちらのエピソードに出てくる医師も同様です。
とは言え、この医師も決して適当な意見を言っているわけではなく、これまでの経験と統計、そして豊富な医学の知識による見解から、そう判断したに過ぎません。
しかし、こうした常識や統計といったものを、根底から覆すような結果を生み出すことができるのが、人間が持つ意志の力というものです。
それは、火事場の馬鹿力と言われたり、本気と言われたり、無限の叡智と言われたり、無意識の力と言われたり、各方面でその名称は異なります。
しかし、表現の違いはあれど、こうした意志の力が人間にはある、というのは紛れもない事実です。
きっと、万人に理解しやすい言葉として使うなら「本気」が一番伝わりやすいでしょう。
文明が進化した現代であれば「社会で生きる」ということに、生命を脅かすような苦労をすることはありません。
しかし、これが唐突に、山奥に一人置き去りにされたとしたら、生きる事に必死になって、安全な水場を探し、食料を得て、明日を迎えることに必死になるでしょう。
成功を志すのであれば、こうして願望や目標に向かって、本気になる必要があるのです。
なぜなら、それは「生きれたら良いなぁ」ではなく「生きなければならない」という姿勢へと変わるからです。
これを、目標や願望に置き換えるのであれば「達成できたら良いなぁ」ではなく「達成しなければならない」となります。
このように願望を「want」から「must」へと、変えることができない人のほとんどは、失敗した時の保険や、逃げ道を用意していることに起因しています。
セールスにおいて例えるなら「売るまで家に帰るな!」と自分に課したとして、それでも仮に売れなかったとしても、辞めて別の仕事をすれば良い、といった具合です。
あるいは、今月売れなかったら生活費が賄えないとしても、貯金を切り崩せば良いや、バイトでもしてお金を稼げば良いや、といった形です。
山奥に一人置き去りにされて、空腹の限界時に、こうはなりませんよね。
「何としてでも生き抜いてみせる!」という意志の力は、人間を奮い立たせるには、十分な力を持っているのです。
それであれば、目標や願望も「何としてでも達成してみせる!」という意志を持って取り組むことが重要になります。
そのためには、目標や願望の達成を、確信できるだけの計画がないといけません。
山奥に一人置き去りにされて、狩猟の経験もないのに、いきなり鹿や猪を狩ろうとは思いませんし、できる気もしませんから、生きる気力が湧いてこないのと同じです。
目標や願望をきちんと持てているのであれば、それを達成させるための計画を立てることに、思考と時間を注力してみましょう。