チームビルディングの極意!反発を乗り越える4つの段階
今回はチームビルディングについて解説します。
・新しい計画を発表すると必ず反発される
・どうすればメンバーが自発的に動く組織を作れるのか
こうした悩みや疑問をお持ちの人はたくさんいます。
チームビルディングできる人は、メンバーからの反発を恐れず、強固な信頼関係で結ばれた組織を作るようになります。
チームビルディングのきっかけは、人が集団で目標に向かう際の心理的プロセスを正しく理解することです。
リーダーとして、メンバーの気持ちを汲み取ることはとても重要です。
でも反発をリーダーへの攻撃だと勘違いし、性急に結果を求めてチームを崩壊させて損をしている人も多いです。
そこで今回は、チームビルディングの極意である反発を乗り越える4つの段階について解説します。
この記事を読むと抵抗の時期があるメカニズムと、乗り越えるリーダーの心得が分かりますのでぜひ最後まで御覧ください。
それでは早速、チームビルディングの本質から学んでいきましょう。
チームビルディングが失敗する原因とリーダーの焦り
新しいプロジェクトを立ち上げたり、組織の目標を掲げたりするときがあります。
このとき、最初は盛り上がっていたチームがすぐに失速し、バラバラになってしまうことは少なくありません。
なぜチームビルディングは途中で失敗してしまうのか、その根本的な原因から紐解いていきます。
チームビルディングを破壊する「性急な結果への焦り」
チームビルディングが失敗する最大の原因は、リーダーがメンバーの心理的な変化を無視しているからです。
つまり、性急に結果(行動)だけを求めてしまうことにあります。
リーダーが素晴らしい計画を思いつき、それをメンバーに発表したとします。
リーダーの頭の中ではすでに成功のビジョンが完成しているため、すぐにでも具体的な作業に取り掛かりたいと焦ります。
しかし、メンバーの心の中はリーダーと同じペースで進んでいるわけではありません。
人間の心はどんなに素晴らしいアイデアであっても、急激な変化に対して無意識に不安や抵抗を覚えるようにできています。
この心理的な時差を理解することが大切です。
「なぜすぐに動かないんだ」「早くスケジュールを決めろ」
このように強引に事を進めると、メンバーは心を閉ざし、水面下で強烈な不満を募らせてチームは崩壊へと向かいます。
「雇われたチーム」と「自発的な組織」の決定的な違い
チームビルディングを考える上で、チームワークとマスターマインドの違いを理解しておく必要があります。
キーストン青少年団体国際連盟の理事長であったフレッド・C・リッカーマンという人物がいます。
彼は、チームワークには自発的なものと雇われたものの二種類があると指摘しています。
雇われたチームワークの典型は、報酬や義務感だけで繋がっている組織です。
彼らは言われたことには協力しますが、報酬の支払いがなくなったり、困難にぶつかればすぐにバラバラになります。
一方で真のチームビルディングによって構築された自発的な組織は、強い使命感と共通の目標達成への決意で結ばれています。
メンバー同士の熱意が最高に集中した状態では、単なる協力ではなく創造的な努力が生まれます。
この状態だと個人の力の足し算ではなく、2プラス2が5にもなるような巨大なエネルギーを発揮します。
この状態を作り出すためには、リーダーがメンバーの心理的プロセスを丁寧に導く必要があるのです。
グラス博士が提唱するチームビルディングの4つの段階
個人が集まり、2プラス2が5になるような強固な組織へと成長していく過程には、どのようなプロセスが存在するのでしょうか。
ここでは、チームビルディングにおける極めて重要な科学的アプローチを解説します。
ジョン・ホプキンス大学のグラス博士による研究成果
ジョン・ホプキンス大学のシェルドン・D・グラス博士という人物がいます。
彼は夫婦という最小単位から世界的規模のグループに至るまで、共通の目標を追求していく際の組織の過程を研究しました。
グラス博士の理論によれば、どんなグループでも目標を達成するには必ず4つの発展段階を順番に通過するとされています。
このプロセスを知ることは、チームビルディングを実践するリーダーにとって非常に重要です。
これにより不要な摩擦を避け、メンバーの反発に冷静に対処するための最強の武器となります。
それでは、その4つの段階を一つずつ詳しく見ていきましょう。
第1段階「導入」:新しい目標に対する興奮と同意
チームビルディングの最初のステップは、「導入(目標決定の段階)」です。
これはリーダーが新しい目標を設定し、メンバーに提案して皆がそれに同意する時期を指します。
この段階の最大の特長は、組織全体に興奮や幸福感が漂っていることです。
誰もが「それは素晴らしいアイデアだ」「ぜひやろう」と前向きな姿勢を見せます。
新しいプロジェクトが立ち上がった初日、キックオフミーティングの盛り上がりを想像すれば分かりやすいでしょう。
しかし多くのアイデアはここで盛り上がっただけで棚上げにされ、その後は捨てられてしまうことも少なくありません。
この興奮だけで終わらせないための次のステップが、極めて重要な意味を持ちます。
第2段階「抵抗と確認」:変化への不安と反発の表面化
チームビルディングにおいて最も難しく、かつ絶対に避けて通れないのがこの第2段階の「抵抗と確認」です。
導入時の興奮が冷めると、メンバーは新しい目標によって自分の環境がどう変化するのかに対し、急激に不安を抱き始めます。
この段階になると、メンバーは新しいアイデアに対して次のような疑問を持ち出してきます。
「時期が早すぎるのではないか」「費用がかかりすぎる」「うまくいかない理由を次々と持ち出す」
グループそのものが、変化に対して抵抗する要素を内在させているのです。
これは「リーダーがどこまで本気でこの目標に取り組むか」を見極めようとする、メンバーからの無意識のテストでもあります。
多くのリーダーはこの反発を自分への攻撃だと勘違いし、怒ったり論破したりしてチームを壊してしまいます。
しかし、この抵抗はチームが成長するために不可欠な成長痛なのです。
第3段階「生産」と第4段階「終了」:実行から完了へ
抵抗の嵐を乗り越えてメンバーの不安が解消されると、チームビルディングはいよいよ第3段階の「生産」へと移行します。
この段階に入って初めて、グループは本格的な仕事に取り掛かります。
生産段階では具体的な予定表が決まり、個人の責任分担が確立し、次回のミーティングの日程などが決定されていきます。
仕事を終わらせるために必要な手順は、すべてこの段階でクリアになります。
グループの結合力は最高潮に達し、まさにマスターマインドと呼ぶべき強力な推進力が生まれます。
そして最後が第4段階の「終了」です。
プロジェクトが見事に完了し、チームは目標を達成した喜びと、困難を乗り越えたという強い自信を共有します。
この4つのサイクルを回すことこそが、チームビルディングの完全な姿なのです。
チームビルディングにおける抵抗期を乗り越えるリーダーの心得
グラス博士の4つの段階の中で、組織の命運を分けるのは間違いなく第2段階の「抵抗と確認」です。
ここからはメンバーの反発を乗り越え、生産段階へと導くためのリーダーの実践的な心得を解説します。
反発に焦りチームビルディングに失敗しかけた実例
私のクライアントに30代のマネージャーがいました。
彼は新規事業の立ち上げを任されたものの、部下からの猛反発に遭ってチームが空中分解しかけていました。
彼は第1段階(導入)で部下が賛同してくれたことに安心し、すぐに第3段階(生産)へと一気に事を運ぼうとしました。
「来週までに各自のノルマを提出しろ」と迫ってしまいました。
その結果、部下たちから強烈な抵抗に遭いました。
「今の業務で手一杯なのに無茶だ」「失敗したときの責任はどうなるのか」
彼は「なぜあいつらはこんなに非協力的なんだ」と強いストレスを抱えていました。
そこで私は彼に、グラス博士のチームビルディングの理論を伝えました。
「彼らはあなたを嫌っているのではなく、変化が不安なだけです。性急に生産を求めるのをやめ、一人ひとりの不安を書き出し、それをどう解決するか一緒に考える『確認』のプロセスに十分な時間を割いてください」
メンバーの気持ちを汲み取りプロセスを丁寧になぞる
するとそのマネージャーは焦る気持ちを抑え、ノルマの提出を一旦白紙に戻しました。
そしてメンバー一人ひとりと面談を行い「何が一番不安なのか」「どうすれば無理なく進められるか」をヒアリングしました。
リーダーが自分の抵抗(不安)を受け入れ、理解しようと努めてくれました。
これでメンバーの心の中にあった「見捨てられるかもしれない」という恐怖は安心感へと変わりました。
チームビルディングにおいて、リーダーが絶対にやってはいけないのは、第1段階からに第3段階へワープすることです。
もしそれを強行すれば、誰かが必ず第2段階に後戻りしようと足を引っ張ります。
立派なリーダーになりたいのなら、メンバーの気持ちを丁寧に汲み取る必要があります。
そして、焦らずにこの諸段階を一緒に歩んでいかなければならないのです。
抵抗を越えた先に最強のマスターマインドが完成する
メンバーからの反発やネガティブな意見は、決して組織にとってマイナスなものではありません。
それは計画に潜むリスクを事前に洗い出し、プロジェクトをより完璧なものにするための貴重なフィードバックです。
グループが必ずこの過程を通過することを深く認識していれば、リーダーとしてのあなたの心には大きな余裕が生まれます。
反対意見を述べるメンバーに対しても、今は第2段階の確認をしていると寛容な気持ちで接することができます。
この抵抗・確認の段階を逃げずに正面から乗り越えたとき、チームの絆はかつてないほど強固なものになります。
こうして利害が一致し、共通の目標を目指して創造的な努力を惜しまない最強の同盟(マスターマインド)が生まれます。
強固な関係は、こうした泥臭い対話と理解のプロセスを経て初めて完成するのです。
編集後記
私は20年間にわたり、数多くの組織課題に向き合ってきました。
「メンバーが自分の思い通りに動かない」と嘆くリーダーは、例外なくグラス博士の第2段階をスキップしようとしています。
ですが人間は機械ではありませんから、変化に対する恐怖や不安を抱えるのは、極めて自然で当たり前の反応なのです。
リーダーの本当の仕事とは、メンバーを力で引っ張ることではなく、彼らの心の中にある不安に優しく寄り添うことです。
そして、一緒にその壁を乗り越えることだと私は確信しています。
もしあなたのチームから不満や反発の声が上がっているのなら、それはチームが崩壊しているのではありません。
次の生産のステージへ進むための準備が順調に始まった証拠なのです。
- チームビルディングには必ず抵抗と確認の段階があることを理解しよう
- リーダーの焦りは反発を生むためプロセスを丁寧になぞりましょう
- メンバーの不安を汲み取ることで最強の自発的な組織が完成する
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