自己啓発の研修内容の作り方|eラーニングとの違いと選び方のポイント
社員への自己啓発研修を企画する際どのような内容にすべきか、あるいは集合研修とeラーニングをどう使い分けるべきかと悩む担当者は多いものです。
効果的な研修設計は組織の成果と社員の成長を両立させる要ですが、現場のニーズと乖離するとモチベーション低下を招くリスクもあります。
自己啓発に20年従事してきた専門家が、社員の自発的な成長を引き出す研修内容の作成法と現場で成果を生む選定基準を解説します。
研修の目的を明確にして集合形式とオンラインの最適な使い分けを理解することで、限られたリソースを無駄にせず確実な人材育成を実現できます。
ここからは研修導入の判断軸と、成功へと導くプログラムの組み立て方を深めていきます。
自己啓発の研修内容を考える前に整理したいこと
自己啓発の研修内容を決める前に整理しておきたいのは、研修なのか自己啓発の支援なのかという位置づけです。
研修は会社主導で業務に必要な知識やスキルを教える場であり、基本的には受講が必須になります。
自己啓発の研修を全体設計から見直したい人は、目的と対象を一行で言語化してから進めると迷いません。
一方で自己啓発は社員本人が主体となって学ぶもので、会社はその背中を押す役割です。
この二つが曖昧なまま研修内容を決めてしまうと、任意のはずが実質強制だったり評価にどう反映されるのかなどの不満が生まれます。
実際に私も任意の自己啓発を研修と同じ扱いで案内した時期がありました。
すると初回参加は集まりましたが、翌月のアンケートで強制に見えるという記載が増えました。
そこで「任意・推奨・必須」を募集要項に明記したら、問い合わせが減り運用が安定しました。
そこでおすすめなのが会社主導の研修と、自己啓発としての研修内容を紙の上で分けて書いてみることです。
例えば必須のコンプライアンス研修や商品知識研修は前者、キャリア形成やコミュニケーション力向上は後者と整理します。
その上で自己啓発として扱うテーマは「任意」「推奨」「一部必須」など、参加の位置づけをあらかじめ決めましょう。
こうして枠組みを先に整理すれば具体的な自己啓発の研修内容を考えるときに迷わず、社員への説明もシンプルになります。
この準備をしておくと、自己啓発の研修内容に対する社員の受け止め方も変わります。
会社の都合でやらされているのではなく、自分のキャリアのために会社が用意してくれたと感じやすくなるからです。
まずは現在の研修一覧を書き出し、これは自己啓発として再設計するべきか?と見直すところから始めてみましょう。
その上で自己啓発の研修内容として扱うテーマだけを抜き出していきます。
そしてこれから紹介するステップに沿って設計していけば、無理のない仕組みに近づいていきます。
研修と自己啓発の位置づけを分けるなら、制度目的を絞り込む技術も合わせて確認しましょう。
自己啓発の研修内容の作り方ステップ
自己啓発の研修内容を具体的に作るときは、三つのステップに分けて考えると整理しやすくなります。
三つのステップとは「目的と対象」「テーマとレベル」「形式と時間」です。
いきなりどんな講座が良さそうか?と探し始めてしまうと、現場のニーズと合わないメニューを選んでしまいます。
その結果として、結局何が役に立ったのか分からないというフィードバックになりがちです。
これを避けるためにはステップごとにシンプルな問いを用意して、それに答えていく形で設計していきましょう。
そうすると研修内容に一貫性が生まれ、自己啓発としても続けやすい形になります。
ステップ一つ目は、目的と対象を決めることです。
自己啓発を会社へ提出するときの申請の流れも踏まえると、説明が短くても承認されやすくなります。
目的は「この自己啓発の研修内容によって、半年から一年後にどんな変化が起きていれば成功と言えるか」を一行で書きます。
私のクライアントで、人材育成を担当していた人事担当者がいました。
個人が特定されないよう内容を一般化していますが、当初の研修目的は「若手社員の離職率を下げる」というものでした。
しかし離職率は上司との関係、仕事内容、待遇、配属など多くの要因に左右されます。
そのためコミュニケーション、キャリア形成、メンタルケアなど複数の研修案が候補に上がり、何を選ぶべきか決められない状態が続いていました。
そこで私は最終的な離職率だけを見るのではなく、研修後に現場で確認できる行動を先に決めるよう提案しました。
管理職への聞き取りを行うと、若手社員と落ち着いて話す機会が少なく、面談も問題が起きたときだけ実施される部署があることが分かりました。
そこで目的を「離職率を下げる」から「管理職が部下との1on1を月2回実施できる状態を作る」へ変更しました。
対象者も全社員ではなく、若手社員を担当する管理職へ絞りました。
目的が具体的になると必要な研修内容も、1on1の目的、質問の仕方、話を遮らずに聞く方法、面談後の対応へと絞り込めました。
研修会社から届いた提案も、目的との一致度で比較できるようになり、約一週間でテーマを決定できました。
実施の準備を進める中では、管理職から「面談の回数を増やすと通常業務が圧迫される」という声も出ました。
そこで長時間の面談を増やすのではなく、短時間でも定期的に話せる運用を検討し、実施回数と現場の負担を両方確認する形にしました。
研修後は離職率だけで成否を判断せず、1on1の実施状況、面談で出た相談内容、管理職が困った場面を確認しました。
すぐに大きな成果が出たわけではありませんが、研修で学んだことが現場で使われているかを追いやすくなり、次回に改善すべき内容も具体的になりました。
最終的には結果だけを追う曖昧な研修から、現場の行動を変えて検証する研修へ切り替えられました。
ただし実施回数だけを目標にすると、内容の薄い1on1を形だけ行う可能性があります。
回数に加えて部下の話を聞けたか、次の対応が決まったかという質も確認することが大切です。
例えば「若手の提案力を高めて受注率を5%上げる」「中堅社員のマネジメント力を底上げにより離職率を下げる」などです。
対象については職種・等級・部署など、誰をメインに想定するのかを絞り込みます。
この段階で目的と対象がはっきりしていれば、研修内容も自然と絞られて参加者も自分事として受け止めやすくなります。
ステップ二つ目は、テーマとレベルを決めることです。
同じコミュニケーション研修でも、入門レベルとマネジャー向けでは扱う内容が大きく変わります。
知識中心の講義が良いのか、ロールプレイなどの実践を重視するのかもここで考えます。
ステップ三つ目は、形式と時間・回数を決めることです。
集合研修にするのか自己啓発のeラーニングと組み合わせるのか、何回シリーズにするのかを検討します。
この三つのステップを順番に進めることで、何となく良さそうだからで選ぶことがなくなります。
そして目的に合った自己啓発の研修内容を組み立てられるようになります。
「目的と対象」「テーマとレベル」「形式と時間」の順で決める方法は、家を建てる手順に似ています。
誰がどのように暮らす家なのかを決める前に、壁紙や家具を選んでも使いやすい家にはなりません。
研修も同じように、最初に誰のどの行動を変えたいのかを決め、その後に学ぶ内容と実施形式を選びましょう。
この順番を守ることで、流行している講座を選んだだけの研修になるのを防げます。
研修目的を行動計画へ落とすなら、達成できる計画の立て方と行動指針も確認しましょう。
自己啓発の研修内容とeラーニングの違いと組み合わせ方
最近は自己啓発のeラーニングも一般的になってきています。
すると研修はすべてオンラインにしてしまえば効率的では?と感じる人もいるかもしれません。
確かに動画やオンライン教材を使えば、場所や時間に縛られず学べるという大きなメリットがあります。
ただすべてを自己啓発のeラーニングにすると質問できない、交流が生まれにくいといったデメリットも出てきます。
コンコルディア大学のリチャード・シュミット教授とロバート・バーナード名誉教授らは、教師の養成や現職研修を対象に、オンライン学習、対面授業などを比較する研究をまとめて分析しました。
その結果、オンライン学習は対面授業と少なくとも同程度の効果があることが分かりました。
そしてeラーニングに対面での練習や対話を組み合わせた方法は、学習成果と「自分にも実践できる」という自己効力感の両方で対面授業より良い結果を示しました。
研究では効果を左右するのは動画などの技術そのものではなく、知識の理解、練習、対話をどのように組み合わせるかだと示されています。
この研究は教師研修を対象としていますが、企業研修でも、知識はeラーニングで学び、練習や意見交換は集合研修で行うという役割分担の参考になります。
自己啓発のeラーニングだけで完結させる条件を確認すると、集合研修を入れる判断が早くなります。
実際に私も、研修の効率を高めるために、自己啓発の研修内容をeラーニング中心にした時期があります。
社員が好きな時間に受講できるようになり、集合研修よりも日程を合わせやすかったため受講完了率は上がりました。
しかし一か月後に現場の様子を確認すると、動画で紹介した話し方や対応方法を使ったロールプレイの実施回数は増えていませんでした。
受講者からも「内容は理解できたが、自分の職場でどう使えばよいか分からない」という声が出ました。
そこで私は動画を追加するのではなく、一度だけ対面の練習会を設けました。
事前にeラーニングで基本的な考え方を学んでもらい、当日は職場で起こりやすい場面を使って受講者同士で実際に話す練習を行いました。
最初の練習では動画の内容を覚えていても、相手から予想外の返答をされると言葉が止まる人がいました。
また説明する側と受け取る側で、同じ言葉の印象が異なることも明らかになりました。
練習後に良かった点と改善点を短く共有すると、受講者から具体的な質問が出るようになりました。
自分だけが実践できていないのではないかという不安も薄れ、職場で試す行動を一つ決めやすくなりました。
その後は知識の確認をeラーニング、実践とフィードバックを対面で行う形へ変更しました。
受講完了率を保ちながら、ロールプレイの実施にも変化が見られ、研修内容を現場へつなげやすくなりました。
一方で対面研修を加えると会場の確保、日程調整、講師や参加者の人件費が増えます。
そのため、すべてを集合形式に戻すのではなく、対面でなければ確認できない練習だけを選ぶことが重要です。
eラーニングと集合研修の組み合わせは、スポーツの練習に似ています。
動画を見れば正しいフォームやルールを理解できますが、自分の動きの癖は実際に体を動かし、他者から指摘を受けなければ分かりません。
知識を覚える部分はオンライン、実際に試して修正する部分は対面というように役割を分けることで、それぞれの長所を生かせます。
ここで大切なのは集合研修と自己啓発のeラーニングを対立させるのではなく、それぞれの得意分野を組み合わせることです。
自己啓発の研修内容のうち、知識をインプットする部分はeラーニングと相性が良い場面が多いです。
例えば基本的な理論や手順、事例紹介などは動画やテキストで何度も見返せる形にしておくと受講者のペースに合わせて学べます。
一方で練習が必要なスキルや、価値観の共有は集合研修の方が効果的です。
ロープレやグループディスカッションを通して、実際の現場でどう使うかを一緒に考える場を持つことが重要だからです。
すると自己啓発の研修内容が現場の行動に直結しやすくなるので、この役割分担を意識しておくと無理なく設計できます。
具体的には事前学習は自己啓発のeラーニング、当日は対面研修という形がおすすめです。
まずは事前に基本知識をeラーニングで押さえてもらいます。
そしてその後に集合研修で練習をして、自分の職場にどう落とし込むかの議論に時間を使います。
これによって当日の密度が高まり、現場の会話も生まれやすくなります。
自己啓発の研修内容を考えるときはどこまでをeラーニングに任せ、どこからを対面で行うかを最初に決めましょう。
そうすれば無駄の少ないプログラムに仕上がります。
eラーニング後の行動記録まで整えるなら、目的別のアプリ活用法も合わせて確認しましょう。
自己啓発の研修内容を選ぶためのチェックリスト
最後に自己啓発の研修内容を選ぶときに使える、具体的なチェックリストを紹介します。
研修会社から複数のプログラム提案を受けたり、社内で自己啓発の研修内容案が上がってきたりする機会があります。
この時、どれも良さそうに見えて選びきれないという状態になりがちです。
そんなときは感覚だけで決めるのではなく、あらかじめ決めた観点で比較することが大切です。
ここでは、初心者の担当者でも使いやすい五つの観点に絞って整理します。
これらを紙に書き出して比較するだけでも、判断のブレを減らせます。
チェックポイント一つ目は、目的との一致度です。
事前に決めた目的に対して、この自己啓発の研修内容はどこまで応えているかを確認します。
二つ目は現場の実務との近さで、事例や演習が実際の業務にどれだけ似ているかを見ます。
三つ目はフォローの仕組みで、受講後に復習や相談ができる仕組みがあるかどうかです。
四つ目は時間と負担感で、繁忙期やシフトへの影響を考えつつ、無理なく参加できるかを判断します。
五つ目は費用対効果で、参加人数や期待される成果を踏まえて納得できる金額かどうかを検討します。
この五つの観点で〇、△、×でスコア比較してみると、どの自己啓発の研修内容が自社に合っているかが見えやすくなります。
チェックリストは、研修を点数だけで機械的に決めるためのものではなく、複数の候補を同じ基準で比較するための道具です。
これは中古車を選ぶときに、価格だけでなく、安全性、燃費、使用目的、維持費を確認することと同じです。
点数が最も高い研修でも、講師の説明が自社の社員に合わない場合や、繁忙期に実施できない場合があります。
比較表で候補を絞った後は、説明会や短い体験版で現場との相性を確認してください。
また一度決めたら終わりではなく、実施後に必ずアンケートや現場の声を集めましょう。
そしてどこが良かったか、どこを改善してほしいかを記録しておきましょう。
これが次回以降の研修内容をブラッシュアップする材料になります。
こうして「決める→実施する→振り返る」のサイクルを回していくことが、研修の質を上げていくコツです。
後は継続していけば、自己啓発の研修内容が少しずつ自社にフィットした形に育っていきます。
研修会社や講座を比較する段階では、自分に合う講座を選ぶ具体手順も確認しておきましょう。
よくある質問|自己啓発の研修内容とeラーニング
Q. 自己啓発研修はすべてeラーニングにしてもよいですか?
知識や基本手順を学ぶ内容はeラーニングに向いていますが、コミュニケーション、マネジメント、営業対応など、練習とフィードバックが必要な内容はオンライン教材だけでは不十分な場合があります。
事前学習をeラーニングで行い、対面やオンライン会議でロールプレイを行う方法が現実的です。
Q. 研修の効果は受講後のアンケートだけで判断できますか?
アンケートでは満足度や理解度を確認できますが、仕事で実践されたかまでは判断できません。
受講後に試した行動、実践回数、作成した成果物、上司や同僚から受けた反応なども確認してください。
売上や離職率などの最終結果だけでなく、その前に起きる行動の変化を追うことが重要です。
Q. 任意の自己啓発研修でも、参加しない社員は意欲が低いと評価してよいですか?
任意と案内した研修への不参加だけを理由に、社員の評価を下げるのは適切ではありません。
業務量、家庭事情、学習方法の好みなど、参加しない理由はさまざまです。
評価へ反映する必要がある学習なら、最初から業務上必要な研修として位置づけ、勤務時間や費用の扱いを明確にしてください。
- 自己啓発の研修内容は目的と対象から設計する
- 自己啓発の研修内容はeラーニングと集合研修を組み合わせる
- 自己啓発の研修内容はチェックリストで比較検討する
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