自己啓発をアドラー心理学で深める7つの実践ステップと活用法
自己啓発に取り組むほど、もっと成長しなければ、他人から認められなければと自分を追い詰めていませんか。
アドラー心理学を取り入れると過去の原因や他人の評価に縛られず、自分が選べる行動と周囲への貢献へ意識を戻せます。
この記事では、共同体感覚、目的論、課題の分離、勇気づけを日常で実践する7つのステップを解説します。
自己啓発の業界に20年従事している経験から結論を述べると、成長とは自分の価値を証明することではなく、自分と他者を尊重しながら今できる行動を選び続けることです。
それではアドラー心理学の真髄に触れ、新しい生き方を一緒に始めましょう。
自己啓発とアドラー心理学が抜群に相性が良い理由
自分を責める努力から、誰かの役に立つための努力へ変える
アドラー心理学は自己啓発と相性が良く、自分も他者も大切に生きる方法を見つけることができます。
自分を責めるのではなく、誰かの役に立てる自分を育てようとする前向きな視点が持てるからです。
他者への貢献は、自分を犠牲にして尽くすことではありません。自分に無理のない範囲で、人の役に立てたと感じられる行動を選ぶことです。
ブリティッシュコロンビア大学心理学博士のエリザベス・ダンとハーバード・ビジネス・スクールのマイケル・ノートン博士は、お金を自分と他者のどちらのために使うと幸福感が高まるかを調べました。
全米の632人を対象にした調査では、他者への贈り物や寄付に使う金額が多い人ほど、収入とは別に幸福感が高い傾向が確認されました。
さらに46人を無作為に分け、渡された5ドルまたは20ドルを自分か他者のために使ってもらった実験では、金額にかかわらず、他者のために使った人の方がその日の幸福感が高くなりました。
これは金銭を使った貢献についての研究であり、すべての他者貢献に同じ結果が出ると証明したものではありませんが、誰かのために行動することが自分の心にも良い影響を与え得ることを示しています。
他者への貢献は、ろうそくの火を別のろうそくへ分けることに似ています。
自分の火を消して相手へ渡すのではなく、自分の明かりを保ったまま周囲も照らすのです。
自分を大切にしながら、同時に役立てる範囲を考えることが重要です。
自己啓発の哲学を先に知ると、アドラー心理学の価値観がぶれず行動の迷いも減ります。
共同体感覚を育てて合否や結果に関わらず行動する
自己啓発にアドラー心理学を取り入れると共同体感覚が育ち、結果に関わらず行動できるようになります。
共同体感覚とは自分は誰かの役に立てる存在だと感じられる感覚であり、これが心の土台になるからです。
共同体感覚は、周囲から必要とされなければ価値がないと考えることではありません。
自分も共同体の一員であり、他者と対等な立場で協力できると捉える感覚です。
これはチームスポーツと同じです。
得点した選手だけでなく守備、声かけ、準備など、それぞれの役割が試合を支えています。
目立つ成果だけで自分の価値を判断せず、現在の立場で果たせる役割へ目を向けましょう。
例えば資格勉強で落ちたら恥ずかしいという動機だと、結果が出なかった瞬間にすべてが無駄に感じてしまいます。
しかしこの資格で同僚の負担を減らせると考えれば、合否に関わらず学んだ知識を周りのために使おうとする目線が生まれます。
自己啓発がアメリカで広がった背景を知ると、成功観のズレを早めに修正しやすくなります。
共同体感覚を育てることで、自己否定の努力から他者を大切にする努力へと軸足を移せます。
自己啓発の目的をアドラー心理学の目的論と課題の分離で整理する
過去の原因探しをやめて、目的論で誰の役に立ちたいかを決める
自己啓発の目的を整理するには過去の原因探しをやめて、目的論で誰の役に立ちたいかを決めるべきです。
目的論とは過去に何があったかではなく、何のためにそうしたいのかという未来に注目する考え方だからです。
目的論は、過去の出来事や受けた傷を無視する考え方ではありません。
過去が現在へ与えている影響を認めながらも、これから何を目的として行動するかへ視線を移す考え方です。
これは車を運転するときバックミラーだけを見続けず、現在地を確認して目的地へハンドルを切ることに似ています。
過去を振り返ることは必要ですが、進む方向を決めるのはこれからの目的です。
なぜ自分はダメなのかという原因探しにエネルギーを使うと、過去の失敗ばかりが頭に浮かび前に進む力が残りません。
人前で話せるようになったら誰が助かるだろうと考え直すことで、そのために今できる小さな一歩が自然と見えやすくなります。
対人の課題に悩むならカーネギーの自己啓発の基本を整理すれば会話の型として使えます。
目的論でゴールを整理すると、ダメな自分から誰かのために成長するという視点に変わります。
課題の分離で他人の評価を気にしたり、頑張りすぎる学びを手放す
他人の評価を気にして頑張りすぎる自己啓発を手放すには、課題の分離を使うことが非常に効果的です。
課題の分離とは誰の課題かを見極め、自分がコントロールできない他人の課題からは一歩引くという考え方だからです。
課題の分離は、人の問題へ一切関わらないという意味ではありません。
自分が責任を持って行うことと、最終的に相手が判断することを分けたうえで必要な協力をする考え方です。
これはテニスで自分は丁寧にボールを打ち返せても、相手が次にどの方向へ打つかまでは決められないことと同じです。
仕事でも誠実に説明することは自分の課題ですが、その説明をどう評価するかは相手の課題です。
例えば上司に嫌われたくないという気持ちは自然ですが、好かれるかどうかは最終的に相手の判断でありコントロールできません。
相手がどう評価するかは相手の課題であり、自分は役に立つ行動を選ぶことに集中すると線を引けば方向性がシンプルになります。
他人の評価のための自己啓発をやめて、自分の選んだ生き方のための自己啓発に集中しましょう。
私自身も相手から期待した反応が得られないと、自分の説明や能力がすべて否定されたように感じていた時期があります。
商談で契約に至らなければ説明を増やし、社員が提案どおりに動かなければ細かく指示を出していました。
相手を支えようとしていたつもりでも、実際には相手の判断まで自分で管理しようとしていたのです。
そこで成功哲学で学んだ自制心と、アドラー心理学の課題の分離を結びつけて考えました。
自制心とは感情を押し殺すことではなく、焦りや不安に反応して相手を動かそうとする前に自分の行動を選び直す力です。
商談や会議の前には、紙を二つに分けて自分が行うことと相手が決めることを書きました。
自分の欄には必要な情報を伝える、相手の疑問を聞く、期限を確認すると記入します。
相手の欄には、提案を採用するか、どの意見を選ぶかと書きました。
最初は、相手の判断へ任せることが無責任に感じられました。
説明が足りないのではないかと不安になり、以前のように言葉を重ねそうになる場面もありました。
そこで結果が出たかではなく、相手の話を遮らずに聞けたか、必要な確認を行えたかだけを振り返りました。
改善点がある場合も、自分が次回変えられる行動を一つだけ記録しました。
続けるうちに、相手から断られても提案の価値と自分自身の価値を混同しにくくなりました。
またすぐに結論を押しつけなくなったことで、相手から事情や本音を聞ける場面も増えました。
最終的にはすべてを思いどおりに進めようとするより、自分の役割を誠実に果たし、相手の判断を尊重する方が長く続く信頼関係を築きやすいと実感しました。
自己啓発をアドラー心理学で深める7つの実践ステップ
自己受容と共同体感覚から始まり、勇気づけを日常に落とし込む
アドラー心理学を日常に落とし込むには、自己受容や共同体感覚から始まるステップを具体化することが大切です。
抽象的な考え方を脳が処理しやすい小さな行動に落とし込むことで、忙しい日でも迷わず実践できるからです。
アドラー心理学を自己啓発へ取り入れるときは、次の7つのステップへ分けると実践しやすくなります。
- 感情が動いた場面を一つ書き出す
- 起きた事実と自分の解釈を分ける
- これから実現したい目的を決める
- 自分の課題と相手の課題を分ける
- 現在の自分にできる行動を一つ選ぶ
- 自分や相手の行動を勇気づける言葉へ変える
- 一週間後に、協力や貢献につながった場面を振り返る
自己受容とは、現在の自分を何も変えずに正当化することではありません。
できていることと不足していることをそのまま認め、現在地から行動を始めることです。
これは地図を使うときに理想の場所を現在地だと思い込まず、今いる場所へ印を付けることと同じです。
正しい現在地が分かって初めて、目的地までの道を選べます。
私のクライアントに成果を出し続けなければ管理職として認められないと考え、部下の仕事まで抱え込んでいた人がいました。
部下から相談されるとすぐに答えを出し、進みが遅いと自分で仕事を引き取っていました。
短期的には業務が進みましたが本人の残業は増え、部下からは指示を待つ場面が多くなっていました。
本人は「自分がもっと優秀なら、チームはうまくいくはずだ」と考え、問題が起きるたびに自己否定していました。
周囲へ貢献したい気持ちが強い一方で、部下が考えて決める課題まで引き受けていたのです。
そこで私は、自己受容と課題の分離から始めるよう提案しました。
まず一日の終わりに「今日自分が役立てたこと」と「相手へ任せるべきだったこと」を一行ずつ記録してもらいました。
部下との面談でもすぐに解決策を伝えるのではなく「あなたはどう進めたいか」「私にどのような支援が必要か」と先に質問するようにしました。
決定を丸投げするのではなく、本人が考えた案を聞いた後に必要な情報だけを補う形です。
始めた直後は部下からすぐに答えが返ってこず、管理職として何もしていないような不安を感じたそうです。
そのため、沈黙に耐えきれず自分の案を話してしまう日もありました。
それでも記録を続けると相談を受けた瞬間に答えを出すことが、相手のためというより自分の不安を早く解消するためになっていた場面へ気づきました。
少しずつ質問して待てるようになると、部下から「この方法を試してから報告したい」と、自分の考えが出るようになりました。
失敗を報告されたときも責任を追及する前に、何を学び、次にどうするかを一緒に確認しました。
最終的には部下の成果をすべて自分の評価と結びつける状態が和らぎ、面談準備や細かな指示へ使う時間も減りました。
部下から早い段階で相談や提案が出る場面も増え、管理職自身も「自分が答えを出すこと」ではなく「相手が考えて動けるよう支えること」を貢献として捉えられるようになりました。
自己受容から始まる小さなステップを踏むことで、自分に優しい自己啓発を自然と日常に落とし込めます。
協力と貢献を通して、ライフスタイルを振り返り一歩ずつ進む
実践ステップの後半は協力と貢献を通してライフスタイルを振り返り、一歩ずつ進むことを目指します。
一度にすべてをやろうとするのではなく、一週間に一つずつ広げていくことで無理なく習慣として定着するからです。
アドラー心理学でいうライフスタイルは服装や生活習慣ではなく、自分、他者、社会をどのように捉え、どのような行動を選びやすいかという、その人なりの考え方の傾向です。
これは車に設定されたナビの初期ルートに似ています。
いつも同じ道を選びやすくても、渋滞や目的地に合わせて別の道へ変更できます。
自分の考え方の癖に気づけば、これまでとは異なる行動を選び直せます。
一日一回誰かの作業を手伝い、週末に一週間を振り返って少しでも勇気を出せた場面を三つだけ書き出してみます。
自己啓発の7つの習慣も内面から積み上げる設計なので、アドラー心理学と比べると理解がさらに深まります。
完璧さよりも昨日より一歩前に進めたかを基準にして、アドラー心理学を自己啓発の行動として深めていきましょう。
よくある質問|自己啓発へアドラー心理学を取り入れる方法
Q. 課題の分離をすると、他人へ冷たい人になりませんか?
課題の分離は、困っている人を放置する考え方ではありません。
助言や支援を申し出ることはできますが、相手の代わりに決断したり、望む行動を強制したりしないという考え方です。
相手の意思を尊重しながら、必要な協力を行いましょう。
Q. 目的論は過去のつらい経験を無視する考え方ですか?
過去の経験や感情をなかったことにする必要はありません。
つらかった事実を認め、必要な支援を受けながら、これから何を大切にして行動するかを考えます。
過去の原因だけで現在の選択を決めつけないことが目的です。
Q. 他者貢献を意識すると、頼まれたことを断れなくなりませんか?
他者貢献と自己犠牲は異なります。
自分の時間、体力、役割を超えて引き受け続けると、長く協力できなくなります。
「ここまでは手伝える」「今回は対応できない」と境界線を伝えることも、自分と相手を対等に扱う行動です。
- アドラー心理学は自分を責めるためではなく、自分と他者の尊重と行動のために活用しよう
- 目的論では過去だけに答えを求めず、これから誰のために何をしたいかを明確にしよう
- 課題の分離によって、自分が選べる行動と相手が判断することを分けてください
- 自己受容から始まる7つのステップを、一日一つの小さな行動へ落とし込みましょう
- 他者貢献を自己犠牲にせず、対等な協力と勇気づけを日常の中で積み重ねることが大切です
行動が続かない・習慣化できない悩みを解決する
自己啓発に取り組んでも行動が続かない、モチベーションが落ちて疲れてしまうという悩みを解決するための学習ポータルです。三日坊主を抜け出す習慣化のコツやマインドセットを体系的にまとめています。
行動・習慣化の解決ポータルを見る >
