最大多数に奉仕する者こそ真の成功者である｜ナポレオンヒルの成功哲学

ナポレオンヒルの成功哲学の中で、プラスアルファの魔法のセッションの中に、牡蠣と鷲の話というものがあります。

これは、人生の生き方を客観的に見つめる、良い機会になるエピソードです。

プラスアルファの魔法という、献身する事によって生まれる力は、最大多数に実践することが、その効果を最大限発揮する秘訣です。

・頑張る理由が見つからない
・自分以外に尽くすことのメリットが分からない

こうした考えをお持ちの人にとっては、今回のエピソードから、自分が成功にたどり着けない原因に気付くことができますので、この動画では

・決断と覚悟と代償について
・マイナスを知って腑に落ちるプラスアルファの魔法

これらについて、ナポレオン・ヒルの解説を交えながら、ナポレオン・ヒルの成功哲学に20年従事している専門家が、ひとつひとつ詳しく解説していきます。

最大多数に奉仕する者こそ、真の成功者である

次にお話しする物語は、とても重要です。

なぜなら、明確な目標によって活性化された心と、プラスアルファの努力を行う精神が、いかにして困難を打開し、願望を達成するのかを示す好例であるからです。

ナポレオン・ヒルの成功哲学を活用している中の一人に、人口10万人の都市に勤める、ある地方公務員がいました。

彼は難しい試験に合格し、地方公共事業部門の副部長の職に就きました。

そして、最大の保護と最小の危険を保障する「お役所」という名の厚い壁の中で、安定に包まれた生活をしていました。

とはいえ、この生活は安定した生活の代償として、賃金の最高限度額が決められ、上昇のチャンスもほとんどありません。

つまり、安全で確実ではあっても、ダイナミックスやドラマとは縁が遠いような生活を彼は送っていたのです。

彼が、ナポレオン・ヒルの成功哲学を活用するにあたり、吐露した心情は「牡蠣と鷲の話」を彷彿とさせるものです。

牡蠣は固い殻に覆われていて、その内部は天国のようなものです。外界で繰り広げられている熾烈な生存競争など、まるで別世界の出来事です。

なぜなら、食物は海中を漂い、牡蠣の口元へ運ばれてくるのですから、それを待っていて、口に入れさえすれば良いのです。

一方、鷲は獲物を捕らえるのに、都合の良い岩山の峰に巣を作ります。鷲の毎日は、風雨や雪との戦いであり、厳しい生存競争の連続です。

その鋭い目つき、強い翼、敏捷な動きや嗅覚のすべては、鷲が生きるためには必要不可欠なものです。

彼は私に「保護された袋小路の中で、自分が牡蠣のようになっている」と語り「鷲のようになりたいのだ」と、その希望を打ち明けてくれました。

自らの意志で、人生を転換させようとすることは、素晴らしいことです。

こうして、プラスアルファの努力をするという考えに触れたとき、彼の頭脳が活性化されたことは明らかです。

彼は、この戦術の背後にある戦略を直ちに理解し、それを殻を打ち破るために使おうと決意しました。彼は、もう一度大海原へと船出することを決意したのです。

ここまでで学ぶこと

人が何かを成そうとするには、それ相応の覚悟と代償が必要です。

なぜなら、覚悟なき決断というものは存在せず、人は覚悟をすることによって決断することができるからです。

デカルトも「決断ができない人間は、欲望が大きすぎるか悟性が足りないのだ」と言っています。悟性とは、物事を判断や理解する思考力のことを言います。

哲学の分野から見ても、やはり人間が成功を志すには思考する力が重要である、としているのです。

あなたも、人生において覚悟を決められない内は、無闇に動き出すべきではありません。

ここで「覚悟」という言葉の意味を、きちんと理解してみることをお勧めします。

なぜなら、覚悟という言葉の意味を理解すると、自己啓発や成功哲学の重要性に気付くことができるからです。

覚悟とは「悪い事態に多大な努力が必要なのを予測して【心の準備をすること】」「迷いを捨て去り道理を悟ること」という意味があります。

私は常に、自己啓発とは「自身で教えや導きなどから自分自身を見つめ直し、物事を明らかにするために心構えを構築すること」と説いています。

また、ナポレオンヒルの成功哲学におけるポイントも「積極的心構えを生み出し、それによって自分の在り方を形成すること」が重要とされています。

これらは正に、覚悟という言葉の意味ともリンクしてきますよね。

覚悟を持つことができないと悩んでいる人の場合は、無理に持とうとするのではなく、まずは心構えの構築から始めていくように心掛けましょう。

そして、成功を志すためには、覚悟の他にも代償というものが必要になります。

ナポレオンヒルの成功哲学における鷲の話でもそうですが、鷲はその身を厳しい環境下に置きながらも生き抜いているからこそ、その在り方にも魅力を感じるのです。

自分が何かを求めるのであれば、それにふさわしい代償となるものを差し出すことを決断しましょう。それもまた、覚悟に繋がってくるのです。

それでは、先程の鷲になる決断をした人のその後について、詳しくみていきましょう。

鷲になることを覚悟したその後

翌日、オフィスに出勤した彼が一番始めに考えたことは、人々に奉仕することでした。つまりは、牡蠣の殻を破るための第一歩というわけです。

もし、あなたが公正な態度で人々に接すれば、献身や奉仕は必ず、感謝されることでしょう。

しかし、そこに打算や下心があれば、人々はあなたの計算に乗ることはありません。その点、彼はどのように振舞ったのでしょうか？

まず始めに、彼は前向きで積極的心構えを持つように心掛け、微笑みを絶やさないようにしました。

彼の微笑みは、決して作り笑いではなく、内面から発せられたものでしたから、周囲の受けも良く、大いに彼を助けることになりました。

そして、訪れるチャンスは絶対に逃すまいと、常に心に留めていると、そのチャンスは思いがけない方法でやってきました。

ある日、彼は上司がラジオ番組のことについて、電話で話しているのを耳にしました。

それは、地方自治体の公共事業を紹介するために、 放送局が自治体の責任者を集めて製作している、15分番組のことでした。

そのスポンサーは、自治体の各セクションの持ち回りになっていました。

彼は上司の電話から、次は電気水道課の制作、提供によって番組が作られることを知りました。

上司はまだ、誰がどんな番組を作るのか？そのアウトラインさえ決めかねている様子でした。

プロのシナリオライターに依頼するようなことも取り沙汰されていましたが、その経費を賄う予算がないので困っている様子です。

そのとき、即座に彼は自分の求めているチャンスを発見しました。彼は上司にこう言いました。

「私はこれまでに何度かシナリオライターの養成講座を受け、脚本の勉強を続けてきました。その台本を、どうか私に書かせてください。もちろん無償です」

「決してプロと同じものは書けないかもしれませんが、業務の内容や電気水道課のことにも精通していますから、必ず良いものを書いてみせます」

彼の申し出は確信に満ちており、その態度も非常に積極的であったため、上司は彼にその仕事をやらせてみようと決心しました。

彼は直ちに台本を書き始め、その仕事に精魂を傾けました。

そして、一旦書き終えた台本は友人の専門家に見てもらい、その結果、大変素晴らしい台本が出来たのです。

遂には、彼の台本によって作られた番組は大成功を収め、かつてないほどの反響がありました。

彼は別の台本を依頼され、その後も依頼は後を断ちませんでした。

そして、気がついたら一週間の内、20時間を台本書きに費やしていましたが、それは彼にとっては何よりも幸福な時間だったのです。

けれども彼は、事務所では物笑いのタネになっていました。

彼が、自分自身の時間を割いて台本を書いていることは誰もが知っていましたが、それを全く無給でしていることに、同僚や仲間たちの嘲笑が集中したのです。

「タダで台本を書くなんて、本当にお人好しね」
「少額でも支払ってもらうべきだ。原稿用紙だってタダじゃないんだぞ」

これが平均的、かつ典型的な反応でした。世の中には、これと似たような話がたくさんあります。

「それは私の仕事じゃない」
「そこまでするほど、給料をたくさん貰ってはいない」
「タダで働くほど馬鹿じゃない」
「貰った給与の範囲内で仕事をするまでのことさ」

ただ一人だけ、彼の真意を理解している人物が事務所にもいました。その人は言いました。

「あの番組が市民にどんな影響を与えているのか、それは私には分からない。だが、少なくともあなたにとっては、大きな効果をもたらすことは間違いないでしょう」

「良い仕事を続けて下さい。きっと、大きな成功が待っているでしょう」

プラスアルファの努力をすることの成果は、彼の場合はまず、その台本がラジオ局の局長の目に止まったことでした。

局長は市長に掛け合い、彼を番組担当の責任者に昇進させ、番組を永続して流すことを考えていました。

しかし、残念ながらそのアイディアは実現しませんでした。なぜなら、自治体にはそこまでやれるだけの予算がなかったのです。

その後、彼が巻き起こした旋風も収まったかに見えた頃、新しい事態が生じました。なんと、彼の行動と業績が市長に認められたのです。

市長は、彼を役立てようと考え、その機を伺っていました。

もちろん彼自身は、市長に注目されていたことは知りませんでしたが、積極的心構えを維持して「プラスアルファの努力」を心掛けていました。

ある日のこと、彼は市長室に呼ばれ、月額200ドルの昇給を条件に、新しい仕事を提示されました。

「袋小路を脱出するために、プラスアルファの努力をする」

彼はこの原則を充分に理解し、しっかりと身につけていたので、実に見事なプラスアルファの魔法を引き出すことができました。

彼は今、さらに大きな願望や目標に向かって、新たなプラスアルファの努力をしているところです。

「プラスアルファの魔法」のノウハウは、すべてのナポレオン・ヒルの成功哲学における重要な戦略です。

なぜなら、プラスアルファの努力を実践することは、頭の中で理解することとは違って、常に行動が伴うからです。それは実践的なノウハウです。

あなたの活動が、実践的なノウハウに支えられるとき、あなたの行動は確実な代償をもたらすでしょう。

ここまでで学ぶこと

鷲になることを決断した人が取った行動は、全てにおいてプラスアルファの魔法を実践していくことでした。

そして、その一つ一つの一歩余分に進むこと、相手の為になることを自ら進んで行うことの全てが、この人の人生を変えるきっかけを作っていきます。

最終的には安定に囲まれた「お役所」の中でも、さらには賃金も平等に決められ、上がる下がると言った事象が起きない世界の中で、月200ドルの昇給を手にしました。

「たった200ドルか」と思う人もいるかも知れませんが、全てを投げ出して手に入れた200ドルではなく、安定の中から、本来は生まれない200ドルを手にしたのです。

これはとても大きな成果です。そして、この人がこれから先に、もっと大きな物を手にしていくであろうことは、きっと誰の目にも明らかでしょう。

プラスアルファの努力というものは、必ずあなた自身にも、あなたの周囲にも影響を与えることができる、その効果が保証されている実践哲学です。

なぜなら、世の中には「マイナスアルファの努力」が溢れており、周囲でそれに励む人を見ると、人は嫌悪感を感じ、その人から遠ざかるだけの力を持つからです。

例えば、仕事においていつでも手を抜こうとする人、適当に仕事をする人、事務的な対応をする人など、こうした人にどういった印象を持つかを想像して下さい。

この「マイナスアルファの努力」が存在し、その力についても理解ができるのであれば、同じように「プラスアルファの努力」というものも間違いなく存在するのです。

騙されたと思ってでも良いので、まずは試してみて下さい。そうすれば、自分も周囲の人達も、晴れやかな気分に変わっていくことを実感できるはずです。